戦争・軍事 |中南米

実弾射撃・渡河訓練




渡河訓練は、まず、浅瀬を1個班(7〜9人)ずつダッシュするところから始める。
兵士間隔は5〜8メートル、対岸に上がったら20メートルあけるように。
カトケンは、最上流を走る。水しぶきで足元は見えなくなるので、
凹凸につまづいたりして、けっこう転ぶ。

ここは、ニカラグア中部ジャングル地帯のムルクク地区。
川の向こう側は、敵「反政府ゲリラ・コントラ」の出没地域であり、たまに、狙
撃弾が飛んでくる。

訓練初日に、狙撃弾でやられた兵士
戦闘地域での訓練のため、訓練開始にあたって、訓練フィールドをこのように遠
くから囲むように警備して、敵狙撃兵への警戒を敷く。
82ミリ迫撃砲弾が、渡河訓練場のド真ん中に着弾。
着弾の約15秒前の状況。
このように、サンディニスタ解放戦線の訓練兵たちが渡河ダッシュをしている地点。
倒木の上に立って「急げ、急げ、あと10秒で来るぞ」と指示しているのは、
ジャングル戦術訓練教官の中尉。この10秒後に着弾する迫撃砲弾は、実弾射撃
下渡河訓練のために数百メートル先から発射された味方迫撃砲部隊の弾だったの
である。

実弾をつかって、こんな危ない訓練を!っと自衛隊員だったら感じるかもしれない。
中尉は「戦闘技術よりも、実弾の怖さを教え、その中で訓練通りの動きをできる
兵隊にすることを優先しています。2ヶ月の訓練で、BLI(ジャングル戦闘専
門大隊)に配属される若者たちですから」と。

緊張のあまり、新兵が転んで動けなくなったり、迫撃砲の照準がズレたりしたら
死人が出る。
中尉は「戦場では、アクシデントが起これば死人が出るのはノーマルなことで
す」と。
その後の戦場体験からしってくことになるのだが、ソ連圏の大砲は、弾を発射し
たら、ちゃんと飛ばずにそのへんに落ちちゃうこととかがけっこう多いのだ。

翌日の爆破工作の実演授業のとき、キューバ軍爆弾技術教官は、「ニカラグア人
同士だから、あんな危ない方法でやれるけど、外国からの軍事顧問だと、もう
ちょっと遠慮しちゃうよ」と。だいたい、敵弾が飛んでくる地区で新兵訓練やる
こと自体が、キューバ人もびっくり。

続く