通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




8月1日
物と同様、コンテンツ・サービス重視、という各メーカーのスタンスを見ると、
ソニーが際立っている。7月30日、ソニーはYahooとの提携を発表。ソニー製の
情報通信グッズにYahooのコンテンツを搭載していく。水面下では、これはソニ
ーによるYahoo買収に向けての一歩という憶測もある。
ソニーが選んだ相手が映画プロダクションといった単なるコンテンツ製作者では
なく、Yahooであることは、ソニーの製品戦略は完全にインターネットへ向いて
いると言えよう。例えばIPアドレス付きで新譜情報等を受信したり、ブロードバ
ンド対応で映画の告知を見られる機能等を満載したデジタル・トーイ等のリリー
スが今後見込める。インターネット常時接続が一般家庭に普及し、ブロードバン
ド・リトラシー(使いこなせる能力)が高い米国でソニーYahooコンビの健闘が
期待される。
同時に日本が推進する、現在のIPv4(IPアドレスの割当方法)に変わるIPv6
の普及の追い風にもなろう。IPv6は、IPアドレスがほぼ無制限に提供でき、家
電等に割り当てられるメリットがある。モバイルが発達している日本では、モバ
イルIP家電に注力し開発を進めているメーカーが多い。しかし、日本の外ではモ
バイル需用はIT不況に見舞われ、しぼんでしまっている。そんなところで、ソニ
ーが率先して海外でIP家電市場を盛り上げ、IPv6のより広い認知に期待をかけ
る向きも出てくるだろう。
IPv6の対極にある次世代プロトコルがフランスが提唱するENUMである。IPv6
は各マシンが固有のIPアドレスを持つという考え方である。ENUMは各個人が国
民背番号のような固有番号(アドレス)を持ち、それをマシンに認証させて電子
メール、オンラインバンキング等などのサービスを授受するというもので、マシ
ン自体には番号もアドレスも付かない。