通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




8月20日
人口が30万。ヨーロッパでは、「その他」「諸国」と分類され、国として認知さ
れないことも多いアイスランド。日本では離島、アジアの感覚では未開のシルク
ロードの王国に匹敵するこの田舎国は、驚異的なハイテク国でもある。フランス
のマリークレール誌によると、インターネット接続の人口普及率がなんと1999年
末で82%。アイスランド語に対応したWindowsやMacを小さな子供までもが器用に
操っている。女性の社会進出は進んでいて、この国は世界初の女性大統領を選出
した。また恋愛カルチャーはオープンで、未成年5人に1人の母親はシングル・
マザー。
なぜ?なぜ?なぜ?ヨーロッパの先進国、フランスから来たライターは衝撃を隠
せない。記事によると、「我々アイスランド人は飢えているんです。アイスラン
ドは何もない国です。一年の内、8ヶ月は冬。花が咲かない。樹が育たない。
我々を植民地支配をしていたデンマークは、イギリスやドイツに売ろうとした。
でも買い手がつかなかった。」「だからアイスランド人はハイテク機器が大好き
なんです。インターネットに接続したり、デジタル玩具をもてあましていると、
なんだかBMWを乗り回すリッチなアメリカ人になったような気分になる。」

韓国の人も同じようなことを言っていた。ハングリー精神は韓国とアイスランド
のインターネットを育てた。これからの日本、嫌なことはたくさんあってもいい
ことは無さそうだ。国民経済が悪化すればするほど人は情報の海、インターネッ
トに救いを求めるか。数値で根拠を示さなければいけないアナリスト道に反する
が、将来の不安という漠然とした大きな潜在需用が日本のブロードバンド化を促
進し、「2002年末には300万のDSLユーザ」(現在40万)という私の予測は、当た
ってしまうかもしれない。