通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




9月10日 ITは絶滅?
IT絶滅論が最近元気である。ITはもう死んだ、IT崩壊。そういった雑誌記事の
見出しが目立つ。まさか、IT絶滅論を本当に信じている編集者がいるとは思えない。
販売部数を増やすためにそういう見出しを打っているのだろうと思う。雑誌の読者は
「世界に勝てる日本の家電!」「世界に打って出るドコモ」という記事で躁になって、
そして「IT崩壊」で鬱になってバランスをとるのだろう。でもIT崩壊うんぬんは、
マーケットが欲する「真実」と称するコンテンツであって、真実ではない。

だって、各自WEBの前で過ごす時間は増えているというのになぜITは崩壊するのか。
逆でしょう、これから発展していく。携帯電話とかパソコンといった箱物の販売が
芳しくないというのが、IT崩壊の根拠とされている。しかしいったいいつから携帯電話と
パソコンがITを代表するものになったのだろうか。皆がパソコンと携帯を持つように
なってこのセグメントの市場が成熟し、販売力が落ちただけであって、携帯・パソコンの
販売不振、これはITの崩壊ではない。こういう物事の捉え方はInternetExplorerを
パソコンに標準搭載し、インターネットの普及に絶大な貢献をしたマイクロソフトに
ものすごく失礼である。
これから発展をしていく元気なIT分野はあり、通信の分野で言えばそれはPSTN(交換機を
使った電話網)とIP網の統合である。具体的には、HTTP://www.sss.dddとブラウザーに
入力すると同じように電話://03-3445-9888といった電話番号をブラウザーに入力すれば
電話やファクスができるというもの。これには、既存の電話番号をIPアドレスに変換する
ための膨大なデータベースとか、いろいろな技術要素が絡まる。いろいろ大変だけど、
PSTNとIP網が統合すれば、ネットワークOSをはじめとしていろいろな新しい製品・サービス
が誕生してくる。そう、またおいしいバブルな時代がやってくる。それを夢見る私は、
36歳ながらネットワークエンジニアの勉強をゼロから始めている。

電子商取引(Eコマース)は失敗、と巷に言われている。しかし、まだまだこの分野は
立ち上がったばかりである。アメリカでは成功しているが、国土の狭い日本では普及しない
という説にも反論してみよう。Pew Internet & American Life Project (PIP) 社の
調査によると、アメリカでは約77%のインターネットユーザーがオンラインショッピング
をし、年間の平均取り引き額が14万円である。しかしながら、ユーザーの半分は銀行の
セキュリティーポリシーに不安を感じており、日本ではiモード等で広く普及しているオン
ラインバンキングの利用率は29%である。だから、この調査結果からオンラインバンキング
のデータだけを取って、アメリカでのEコマースは失敗で日本は成功した。日本は治安が
いいからEコマースが発展する、ともいえるのである。