通信アナリストの眼 INDEX


渡辺真由美のフリー・通信アナリストの眼




11月2日 膨らむ次世代モバイル・バブル
同時多発ゲリラ事件以来、人々の関心はテロに集中し、他のことはどうでもよくなっ
てしまっているようだ。通信産業がマスコミに取り上げられなくなって久しいけれ
ど、でも実は9/11以降、いろいろなことがあった。

有事が発生すると、皆電話に走る。電話はつながりにくくなっていていらいらする
が、それでも通話料金はちゃっかり取られる。通信事業者はテロで儲かる。また督促
電話が発生する経済危機に強い。そんなことが言われている。しかし、大口の利用者
である企業が設備拡張計画を延期したり、事業所を閉鎖したり、最悪の場合は倒産し
て料金が回収できなくなり、それが通信事業者に大きな打撃を与えている。特にテロ
で大打撃を受けている航空会社、旅行会社は通信事業者の大口顧客である。危機感を
抱いている事業者は、儲けにならない業務から手を引いて他社に業務委託をする、
等々の判断を「来年3月に出す」と言いながら、実は今から業者選定に入っている。
また過剰な設備投資をしてNTTと張り合おうとした外資系通信事業者が危ういという
話があちこちにある。まあ、会社がヤバイという話は航空業界、旅行業界、広告業界
等どこにでもあって全然珍しくないけど。
一方、9/11以降、見通しが立たないビジネス環境の中で、もう設備や人にお金を使
わないでマネーゲームで食べていこうという雰囲気が通信業界では盛り上がってきて
いる。有望な投資先は次世代モバイルサービスを立ち上げたNTTドコモと関連会社。
世界中の通信事業者にとってドコモは神様であり、次世代モバイルサービスは奇跡で
ある。彼等の次世代モバイルサービスへの期待感はドコモ以上かと思われるが、その
熱い思い込みを正当化してバブルを煽る、「アナリスト」が今求められている。