活動通信アナリストの眼

インターネット電話

野村総研の調査によると、Lモードの認知度は6割で普及率は1割。インターネット電話は、ソフトバンクYahooBBの攻撃的なマーケティング活動で急速に認知度が上がってきているが、サッチ−からデビ夫人を含めた全国民の過半数以上の認知を得、住宅用電話加入者の1割である400万加入が達成できるのは早くとも再来年だろうと思う。携帯電話の利便性に飼いならされている日本のユーザーのマジョリティーが、安さだけが取り得のインターネット電話の加入手続きをするとは思えない。テレビネット電話でも登場しない限り、その普及は緩やかであろう。

しかし、実際インターネット電話を提供している者としては、みずほ級の障害に見舞われて携帯電話の信用が落ち、ネットテレビ電話(テレビネット電話)が大ヒットするまで待っていられない。もう先を争うように勧誘電話をかけまくっている。勧誘電話をかけてくるのは、その会社の社員ではなく、人材派遣会社といった請負業者の人で、使っている電話もインターネット電話ではなく、普通のNTT電話らしい。またおもしろいことに、日本では電話対応部署の外注は当たり前で、外注しない経営者はコスト意識皆無の大馬鹿と見なされる雰囲気さえある。一方、合理的なアメリカでは、以外にも電話対応業務の外注率は日本ほど高くないそうだ。


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さて、実際インターネット電話への加入を検討している人の話を聞いてみると、インターネット電話の信頼性についての疑問は払拭できず、それほど生活に影響しない国際電話だけインターネット電話にしようという方が多い。また、これは国際電話が、一番金額的に節約の余地があるという家計簿データに裏打ちされた上での結論でもある。

そこがジレンマだ。国際電話は通信障害に見舞われやすい。そして安かろう、悪かろうという評判が立っても、事業者は措置を講じられなく、そこが痛いところである。海の向こうは外国で、治外法圏。NYへの電話が通じないからと言って、日本の電話会社がアメリカの電話会社の局舎に乗り込んで「うちのお客さんからクレームがあったんで」と言って伝送路の修理をするわけにはいかないのである。でも、電話が通じないことで腹を立てているユーザーはどこまで事業者の説明を聞いてくれるだろうか。

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インターネット電話は、今日のところ、普通のNTT電話もしくはパソコンでやるものである。が、様々な障壁を乗り越え、携帯電話、そして電子手帳は確実にインターネット電話対応となり、ちょっと遠い将来には冷蔵庫にも備え付けられるようになるだろう。何のための冷蔵庫付き電話かと言うと、切らした食品を冷蔵庫の中をチェックしながら注文するため。いらないか、そんのもん。

ビジュアル素材はwebcreators2002年7月号より
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