活動通信アナリストの眼

東芝・富士通はソニーエリクソンに成らず?



ワールドカップで猛突進する韓国。韓国では、チームカラーの赤の生地の在庫が尽き
たそうだ。ここまでいかなくても、先週の東芝・富士通の発表はアジアを揺るがし、
記事は印刷コピーされまくり、コピー用紙の在庫は一掃された。

東芝と富士通は半導体分野で提携をした。また、統合を視野を入れた話し合いが進
み、秋より統合に向けた具体的な取り組みを開始するとのことである。東芝と富士通
の連携は、昨年のソニーエリクソン連合の半導体版といえるもの。家電、特に映像関
係に強い東芝と通信インフラを制する富士通が組んで、映像をやりとりする次世代ブ
ロードバンド通信機器用の半導体チップを開発する。このようなカップリングは携帯
電話の世界においては、家電のソニー、移動体インフラのエリクソン、そして家電の
松下とインフラのNECという組み合わせがある。ちなみに、家電の東芝はコンピュー
タインフラのIBMとも半導体分野で提携している。
半導体生産拠点を抱えるアジア諸国が騒いだのは、東芝と富士通カップルは統合を視
野に入れているからである。巨大半導体メーカーの統合は、トヨタとホンダの統合同
様のインパクトがあるようだが、門下外である私にはそれ以上のことはわからない。
それよりも、いったいなぜ統合という道を選んだのか。つまり、ソニーエリクソンの
ように新たな合弁をつくる、あるいは松下NEC陣のように、既存の組織内で共同事業
を進めるという可能性だってあった。ソニーエリクソンは今年に入って新商品を発表
し、そして1?2ヶ月後には主戦場である中国で新会社と研究所を設立する。松下と
NECは中国のメーカーと合弁を設立、欧州勢が強い中国で携帯電話を売っていく。東
芝と富士通が事業部を統合すれば、人も生産拠点も何もかも増えて大きくなる。しか
し、規模が有利に働くのは大量生産時。次世代技術の開発においては、規模より「ア
イディア」である。いや、それこそ東芝富士通は統合どころか、もう日本を引き払っ
て世界の生産現場、中国に移ることを考えているのかもしれない。それもひとつの道
である。

最近の日経エレクトロニクスに掲載されたインテル特集はおもしろかった。インテル
の半導体チップは無線機能を搭載、また通信機能のひとつとしてセンサー技術の採用
の研究も進めている。これは私の空想で、もしかしたら半導体チップ間が信号を交信
してしまうから、「通信機器」というものが不要となり、当然NTTもKDDIも日本テレ
コムもいらなくなるかもしれない。。。ちょっと大胆かもしれないが、それ以上の大
胆な発想がDRAMの価格は落ち、量ではなく質で生き残りを図る半導体メーカーに求め
られている時勢だと言えよう。


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