ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

不採算横断自動車道を数値分析 2



 横断自動車道は、おおむね時間比率が0.6前後である。高速道路を利用すると一 
般道路の6割の時間で到達できるということである。縦貫自動車道は4割の時間で到 
達できる。
 時間比率は、高速道路の平均速度が高く、一般道路の平均速度が低いケースで良好 
な値になる。横断自動車道の平均速度が77.0キロであるのに対し、縦貫自動車道 
は87.3キロである。これは、横断自動車道は、東京と新潟の区間(関越自動車 
道)以外は、すべて暫定2車線区間を含むせいである。東京ー新潟区間の時間比率は 
0.39と、縦貫自動車道並の良好な値になっている。また、一般道路の平均速度で 
は、横断区間は44.6キロ、縦貫区間は37.4キロである。これは市街地区間の 
渋滞に起因している。市街地区間の多い縦貫区間は不利である。
 縦貫自動車道は、横断自動車道に比べて、高速道路の走行速度が1.13倍で、一 
般道路の走行速度が0.84倍である。この差異が所要時間比率にそのまま反映して 
いる。
 
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  村田JCT
 (「高速道路と自動車」
  (高速道路調査会)
 1989年4月号から引用)
 先述のように関越自動車道は全区間4車線以上のフル規格のため平均走行速度は8 
3.4キロと高い水準に達している。そのため一般道路との所要時間比率は0.39 
と、横断自動車道の中では突出している。つまりフル規格にすれば、どの横断自動車 
道も同様に縦貫自動車道並の所要時間比率になるのだろうか。

 関越区間と並行する一般国道の平均走行速度(37.1キロ)がほかの区間に比べ 
て低いことに着目してほしい。これは、関越国境の山岳区間を高速道路が長大トンネ 
ル(関越トンネル)で短絡していることに起因している。距離比率でも0.88とほ 
かの区間に比べてかなり高速道路が少なくなっている。つまり、関越区間はルート設 
定において高速道路が有利なケースということである。ほかの横断自動車道がフル規 
格になって、平均走行速度が関越区間と同様の83.4キロに達したとしても一般道 
路の平均速度は44.6キロのままなので、所要時間比率は0.53程度にしかなら 
ない。これは、当該区間の市街化が進行せず、一般道路の平均走行速度が低下しない 
ことを想定しているが、現在の成長傾向を見れば極端な市街化は望めそうにもないの 
で、まあ妥当な想定と考える。
 
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 郡山JCT
(「高速道路と自動車」
 (高速道路調査会)
 1997年10月号から引用)
 所要時間比率だけを見れば、縦貫自動車道は横断自動車道の71%である。通行料 
金は縦貫/横断の区別なく対距離で同様に設定されている。(東名高速の東京と厚木 
の間、中央自動車道の恵那山TN(トンネル)など多くの区間で割増の特定料金を設 
定しているが、今回の考察には大きな影響はないので(横断自動車道が不利になる要 
因はないので)無視させていただく。)つまり、横断自動車道の利用は、利便性では 
縦貫自動車道の7割程度ということで、同じ料金を支払ってもその効果は7割という 
ことである。高速道路の効果はいろいろのファクターで分析されるが、時短に着目す 
るのが最もわかりやすいと思われる。横断自動車道をフル規格にしたとしても76 
%、並行する一般道路の市街化がある程度進行し走行速度が低下したとしても8割く 
らいにしか達しないと考えられる。
 
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 一宮JCT
(「高速道路と自動車」
 (高速道路調査会)
 1998年7月号から引用)
 東海北陸自動車道は、さらに南に
 伊勢湾岸自動車道まで延長できる
 構造になっている。
 横断自動車道の中では、関越自動
 車道に次いで交通需要が多い。
 横断自動車道の各区間は、それぞれに状況が異なりまとめて考察することは難しい 
と考えていたが、案外似たような特性が見られたことには驚いた。縦貫自動車道につ 
いても同様である。青森から鹿児島までの縦貫自動車道と東京から新潟までの関越区 
間を所要時間比率が0.4のタイプA、そのほかの横断自動車道は0.6のタイプB 
とすると、2つのタイプしかない。例外は、東海北陸道区間の0.53くらいであ 
る。この区間は現状(2002年11月)では、清見JCTと白川郷ICの区間が未 
開通で、数値は全通を想定して求めた。工事中の区間には国内では関越TN(110 
55m)の次に長い飛騨TN(10750m)が含まれている。(第3位の東京湾アク 
アTN(9223m)よりも長い)。関越自動車道と同様にルート設定において高速道 
路が有利なケースである。美濃IC以北の長い区間が暫定2車線区間であるため関越 
水準の0.4には及ばず、横断自動車道の平均水準0.6との中間の値になってい 
る。フル規格になればもちろん0.4には達するはずである。東海北陸自動車道の交 
通量は漸増傾向で、2車線区間では慢性的な渋滞が発生している。一部区間ではフル 
規格化が進行している。

 分析区間の設定根拠を含め、詳細データを示す。
分析区間の詳細


 最後に、分析区間の収支率を示す。おおむね、先述のタイプAが黒字、タイプBが 
赤字になっている。東京、名古屋と上越の区間は、当初横断自動車道とはしないつも 
りだった。太平洋側と日本海側を短絡する区間ではないし、名古屋と上越の区間では 
縦貫自動車道と想定できる中央自動車道を通過している。また、当該路線は太平洋側 
と長野県までの需要が極めて多いため道路構造、ルートともに純然たる横断自動車道 
とは言えない。収支率でもほかの横断自動車道とは異なる傾向が現れている。所要時 
間では、距離が主体になるためある程度、横断自動車道の傾向が現れるのだが。
分析区間の収支率
(データは、ハイウエイニュースNo.87から引用。)
 収支率は、ほぼ需要(交通量)を現している。交通量が多ければ採算性(収支率) 
は高くなる。利便性(所要時間)が良好になれば交通量は増える。これらに密接な相 
関性が見られるのは当然だが、高速道路の性能(利便性)と需要には極めて単純な2 
極しかない。機会があれば、交通量をベースにした分析をして、利便性との相関関係 
を明確にしたいと思う。