ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東京外郭環状線1



 2003年1月10日、扇国土交通相から東京外環自動車道の東名高速と関越道の 
区間16キロを全線大深度地下トンネルとすべく、「大深度地下利用法」を適用する 
ことで東京都との合意を得たと発表された。もし予定通りに適用されれば初適用にな 
る。外環自動車道の当該区間は予てから石原東京都知事から一刻も早く開通させるべ 
き区間として建設主体である国土交通省に打診していた。(実際の施工は日本道路公 
団になるはず。)今回の合意で、実現に一歩近づいた。なお、本件は名古屋のローカ 
ル新聞である中日新聞に掲載されたものである。東海地区以外の道路について1面で 
掲載されることは珍しい※。東京外環自動車道は東海地区のドライバーが多用する東 
名高速道路や中央自動車道と接続するので、関心が高いと考えたのだろう。

※1面での掲載は、1987年9月9日に東北自動車道が首都高速と接続したときに 
も掲載された。おそらく、それ以来と思われる。

 東京外環自動車道の大深度地下利用法適用に関する記事。
(2003年1月10日発行中日新聞から引用。)
 関東地区では、もっと大きなスペースを割いていると思われる。本件については後 
日機会を得て図書館などで確認してみる。内容については、在京新聞と同じと考えら 
れる。なお、記者発表で配布されたと思われる資料はWEB上でも公開されていて、 
もちろん当方の手元にもある。
 大深度地下利用法とは、地表から40メートル以上深い地下空間を利用する際に、 
地表の土地を買収、補償する必要はないというものである。これまでは基本的に地表 
の土地は収用しておかなければならなかった。都市部の浅いトンネル区間では、これ 
は理解できるだろう。山間部のシールドトンネルにおいても地表の土地は確保してい 
た。ハイキングをすると意外なところで日本道路公団道路用地の柵を見つけたりす 
る。下部にトンネルがあるということだ。
 東京外環自動車道の当該区間※の整備が遅れた最大の原因は、計画当時からすでに 
高度に市街化が進行しているため用地確保が困難だったからである。これは直接の道 
路用地だけでなく、新たに沿線になる広大な帯状のエリアへの環境補償の問題も含ま 
れている。

※当該区間
 世田谷区で東名高速道路と接続する地点を起点として、三鷹市で中央自動車道と接 
続し、練馬区で関越自動車道や東京外環自動車道のすでに開通している区間に接続す 
る。それぞれの接続点は、世田谷JCT、三鷹JCT、大泉JCTである。いずれも 
仮称だが(大泉JCTは確定とは思うが)、世田谷JCTについては、計画当初は 
ローカルな地名の「砧」を採用して砧JCTと呼ばれていた。本報告では多くは世田 
谷JCTで通すが、古い資料の参照箇所で一部砧JCTとしている。また、この区間 
全体を西区間と表記していることもある。

 世田谷JCT(砧JCT)模式図
(「東名高速道路」(池上雅夫 中公新書 1977年発行)からトレース。
 上下方向が東西方向になっている。(上が東である。)
この新書は世間があまり関心のない道路の世界をわかりやすく記す名著だが、残念な 
がら現在は絶版になっている。
ジャンクションの線形は、ランプ部の立体交差(上下関係)や、外環道本線の分離 
(セパレート)、料金所のすべてをそのままトレースしている。つまり、開通してい 
る東名高速道路がジャンクションの最上層になる。つまり、東名高速道路の下部構造 
(橋脚)は、外環道の交差を意識したかたちになっている。今回は手元に資料が見つ 
からなかったので掲載していないが、機会があれば下部だけを取材したいと考えてい 
る。(画像は残っていないが目視はしたことがある。容易に交差が受け入れられるよ 
うな橋脚の配置だった。)

続く