ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

植田IC 3



【現在(2003年)】
 名古屋環状2号(R302)は外回り車線を使用して1車線ずつの対面通行により 
暫定開通している。R153は4車線で開通しいて一見完成に見えるが、これは暫定 
開通である。植田ICは本線がアンダーパスで通過するようになって完成に至る。東 
名阪自動車道の植田ICの工事は全面展開中である。

◆図2
植田IC立体交差模式図。
(国土交通省中部中部支社東名古屋工事事務所WEBサイトから引用。)
 植田ICは◆図2のように3重立体交差になる。地表は、R302とR153側線 
が平面交差する。地下1層目は東名阪自動車道本線が通過する。地下2層目はR15 
3本線が通過する。植田ICは並行するR302に接続するダイヤモンド型のランプ 
だが、高針方面とR153豊田方面は直結ランプが設置される。このランプの内、入 
口(R153豊田方面から東名阪道高針方面へダイレクトアクセス)は地下2層目の 
R153本線の上部を通過し、地下1層目の東名阪自動車道本線の下部を通過する。 
つまり、植田ICには地下1層目と2層目の間を通過するランプが存在する。したが 
って4層構造ということになるが、このランプはR302とR153の交差する天白 
高校東交差点の北東角をショートカットするので、垂直方向から見て4層構造の箇所 
はない。本報告でも便宜上3層構造ということにする。

◆画像2
天白高校東交差点
画面上下方向が名古屋環状2号(R302)、左右方向がR153。
交差点北西角から南東方向をのぞむ。
(2003年4月7日、著者撮影。)

◆画像3
天白高校東交差点仮設施設。
正面施設が、東名阪自動車道工事期間の仮交差点になる。
交差点フロアのみが設置されているが、順次4方向に延びてそれぞれがR302、R 
153になる。確保された下部空間が東名阪自動車道植田ICの工事現場になる。
(2003年4月7日、著者撮影。)
 この現場のユニークなところは、現在暫定開通しているR153、R302の交差 
点が地下1層目にあたるということである。完工時には地下1層目は東名阪自動車道 
本線が南北に通過することになる。
 植田ICは地下に2層の道路を設置するので、一般的には地表から2層分掘り起こ 
すことになる。当該地区はすでに道路用地が確保されていて、迂回道路を設置する余 
裕もある。したがってオープンカット工法を全面展開させることができる。ところ 
が、地下1層目が地表なので、まずは地表を1層分上に持ち上げて既存交通(R15 
3とR302)を確保する。◆画像3の仮設高架が、R153とR302の工事期間 
中の暫定交差点になる。このフロアから順次4方向に仮設高架を延長させて、現在の 
地表を工事箇所として明け渡す。次に、R153豊田方面からの直結路(地下1層目 
と2層目の間を通過)、およびR153本線アンダーパス(地下2層目)のために1 
層分掘り起こす。R302側(南北方向)は、現状の地表(R302通行フロア)を 
地下1層目の東名阪自動車道本線へ切り替える。最後に地下1層目になった東名阪自 
動車道本線に蓋をして、新たな地表にR302を移行させる。
 この手順を理解していただけるだろうか。地下工事は深い箇所から順に施工され 
る。植田ICでもこの原則は守られるが、地下2層なのに、地下1層だけ掘り起こし 
て、地表を1層分持ち上げて、相対的に3層構造にするということである。最終的に 
は植田ICの高架構造物は歩道橋のみで、一般道路のR153とR302以外はすべ 
て地下に隠されてしまう。なお、地表が1層分持ち上げられても近隣の居住区から見 
れば、まだ1層分の掘割構造になる。つまり、現状のR153とR302は2層分の 
深い掘割の中なのである。

◆画像4
天白高校東交差点からR302平針方向(南方向)をのぞむ。
(2003年4月7日、著者撮影。)

◆画像5
名古屋環状2号(R302)平針方向、植田三郎廻間東交差点をのぞむ。
(◆画像4のズーム。2003年4月7日、著者撮影。)
 R302の植田IC以南は、天白川の谷地にかかるため縦断曲線はサグ(sag)にな 
る。現状でもかなりきつい勾配だが、植田ICが1層分持ち上げられるので、さらに 
きつくなるように思えるがそうはならない。R302におけるピークは植田ICでは 
なくその南の植田三郎廻間東交差点付近(◆画像5)なので、勾配は現行のままであ 
る。むしろ、この交差点から見れば植田ICは谷地にあたるので、1層分持ち上げら 
れることにより縦断曲線は滑らかになる。
 東名阪自動車道は、現行の地表区間を通過するので、高速道路の縦断勾配(3%) 
をキープするため天白川オーバークロス部では高架区間になる。

◆画像6
国道153号(R153)梅森台方向、平成橋をのぞむ。
(◆画像1のズーム。2003年4月7日、著者撮影。)
 R153豊田方面(梅森台方向)は、平成橋付近(◆画像6)がピークで植田IC 
を越えて植田一本松から植田川オーバークロスまでが長いスロープになっている。つ 
まり植田ICはスロープの途中にある。R153本線はアンダーパス(地下2層目) 
で植田ICを通過する。現行のR153が地下1層目にあたるので、1層分地下を通 
過する。アンダーパスは平成橋の西側まで続くので、ピークを避けるようになる。つ 
まり、植田IC付近のクレスト(crest)を緩和するかたちになる。しかし、R302 
方面へ連絡する側道は1層分持ち上げられるので、植田一本松方向からは逆にクレス 
トがきつくなる。ところで、植田一本松交差点を含め植田川オーバークロス部を高架 
で越える余地を残しているので、R153の高規格化が進行すれば縦断曲線に関する 
諸問題はすべて解決する。因みに植田川以西は長い峠越え区間に至る。ただし、峠越 
えの先が幹線道路と接続していないので、高規格化は数年で実施されるものではな 
い。本件については、植田ICとは直接関係ないのでここで止めるが、かなり気にな 
る(危うい)将来計画ではある。

続く