ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

西瀬戸自動車道1



【はじめに】
 西瀬戸自動車道は、「瀬戸内しまなみ海道※1」という愛称で1999年11月5 
日に全通したとされている。島伝いに本州の尾道市から四国の今治市には陸路で行け 
るようになったのは事実だが、自動車道としては全通していない。
 まず、明確にしておかなければならないのは、道路は管轄によって区別されるとい 
うことである。一般的に本四連絡橋と言われている道路は、本州四国連絡橋公団の管 
轄する道路で、前後の区間は日本道路公団の管轄する高速自動車国道や国土交通省の 
管轄する一般国道である。

 神戸淡路鳴門自動車道は、神戸西ICと鳴門ICの間の区間だけで、山陽自動車道 
と接続する三木JCTと神戸西ICの間は山陽自動車道である。また、瀬戸中央自動 
車道は、早島ICと坂出ICの間の区間だけで、山陽自動車道と接続する倉敷JCT 
と早島ICの間は山陽自動車道で、高松自動車道と接続する坂出ICと坂出JCTの 
間は高松自動車道である。西瀬戸自動車道は、国道2号と接続する西瀬戸尾道ICと 
今治ICの間の区間だけで、今治ICと松山自動車道と接続するいよ小松JCTの間 
は、今治小松自動車道である。あくまでも便宜上の区分で、道路構造は基幹道路と接 
続するジャンクションまでの区間は同一である。

 この報告では、実際の利用に則した区分で、神戸淡路鳴門自動車道は三木JCTと 
鳴門ICの間、瀬戸中央自動車道は倉敷JCTと坂出JCTの間、西瀬戸自動車道は 
西瀬戸尾道ICといよ小松JCTの間として扱う。

※1 瀬戸内しまなみ海道
 現地の道路案内板にも「しまなみ海道」と記されている。市販の地図でも「しまな 
み海道」と記していることが多い。ところが、本州四国連絡橋公団が発行している最 
新(2003年5月)のリーフレットでも西瀬戸自動車道と記されている。「しまな 
み海道」はあくまでも愛称という扱いで小さな活字で補記している。個人的には道路 
名は、表記するとき以外は記号(道路区分)と数値(路番号)で認識しているので、 
どのような名称で表記しても気にならないが、本報告では管轄公団で使用している西 
瀬戸自動車道と記す。

◆画像1
今治市高部旭方
西瀬戸自動車道(しまなみ海道)
来島海峡SA(下り線)から来島海峡大橋、大島方向をのぞむ。
(2003年4月28日著者撮影。)

◆画像2
来島海峡大橋
馬島の橋台をのぞむ。
画面右側が来島海峡第二大橋、左側が第三大橋。
この橋台では第二、第三ともに垂直方向のワイヤ(ハンガ)がない形式になってい 
る。第三橋の今治側も同様の形式だが、第二の大島方向(武志島)の橋台ではハンガ 
が張られている。ワイヤの張り方がシンメトリになっていないのは吊橋では珍しい。
(2003年4月28日著者撮影。)
 先述の定義で、神戸淡路鳴門自動車道、瀬戸中央自動車道はフル規格で全通してい 
ると言える。いずれも山陽自動車道と高松自動車道に直結していて、本四区間も4車 
線以上で供用している。

(神戸淡路鳴門自動車道の淡路島区間は6車線に拡幅できるよう道路用地を確保済み 
で、トンネルは各方向で3車線分の大断面になっている。したがって、正確にはフル 
規格ではなく、暫定4車線供用である。しかし、6車線拡幅の需要は当分望めないの 
で、現時点で実用上はフル規格と考える。)

 ところが、西瀬戸自動車道は未開通区間があり、ほとんどの区間が暫定2車線対面 
通行で供用されている。とても全通とは言えないかたちになっている。実際に通行し 
た方にはわかることであるが、詳細な現状を記したガイドをあまり見たことがないの 
でまとめてみた。

【現状】
 西瀬戸自動車道は、粗い地図(◆地図1)で見ても、3区間が未開通であることが 
わかる。開通区間は、西瀬戸尾道ICと生口島北ICの間、生口島南ICと大島北I 
Cの間、大島南ICと今治ICの間、それに今治湯ノ浦ICといよ小松JCTの間の 
4区間である。

◆地図1
西瀬戸自動車道路線図
 未開通区間は、生口島島内の国道317号、大島島内の国道317号、それに国道 
196号今治BP(バイパス)を通過することになる。今治BPは一般道路だが全区 
間4車線の市街地を避ける新道である。

 島内区間はいずれも2車線の対面通行である。交通量は少なめで案外スムースであ 
る。ただし、市街地を通過する箇所もあるので法定速度以下で走行しなければならな 
い。今治BPは法定速度で走行できる規格だが、交通量は多く、平日朝夕は渋滞が多 
発する。なお、今治BPの全通、および今治小松自動車道の今治湯ノ浦ICと東予丹 
原ICの間の開通は、西瀬戸自動車道全通の1999年11月5日以降で、2002 
年までは今治ICと東予丹原ICの間は1時間近く2車線対面通行の隘路を通過しな 
ければならなかった。

◆図1
西瀬戸自動車道の車線運用
灰色が自動車通行帯で、点線がレーンを表す。薄緑が歩道である。

◆図2
新尾道大橋
手前が新尾道大橋、奥が尾道大橋。新尾道大橋は自動車専用で歩道は設置されていな 
い。原付、125CC以下のバイクは尾道大橋を利用する。ただし、歩行者、自転車 
はいずれも通行できない。したがって、新尾道大橋は完成していると言えるが、尾道 
大橋は歩道を設置しなければ完成とは言えない。
(本州四国連絡橋公団WEBサイトから引用。)

続く