ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東海北陸道の全通効果7



【北陸道ルートとの比較】
 東海地方と北陸地方を結ぶ高速道路主軸は北陸自動車道だが、東海北陸自動車道の 
開通延長が延びて、2ルートに選択できるようになってきた。これらのルートについ 
て時間、料金の面で比較した。なお、距離の比較は「時間」に含ませた。北陸自動車 
道と東海北陸自動車道では北陸自動車道の方が道路の規格が高いので単位距離あたり 
の通行時間は短い。そのため北陸自動車道ルートの方が距離は長くても時間が短い 
ケースがある。

 ところで、各ルートともに距離は200キロ程度なので、道路構造に起因する走行
速度に差異による到達時間には大差はない。距離の差異は燃料消費量の相違に匹敵す
るが、これも勾配区間の有無や走行速度、それに自動車の性能により測定が難しい。
これらの理由により距離は参考程度に記し、時間と料金に絞った。現実には、これら
が高速道路を利用するかどうか、またどのルートをたどるかを決定する要因と考えら
れる。距離に起因するタイヤの磨耗、燃料消費量などに拘って高速道路を比較するケ
ースは稀だろう。

 東海北陸自動車道は、2003年9月現在、飛騨清見JCTと白川郷ICの間が未 
開通である。未開通区間の延長は25キロである。わずか25キロだが、この区間に 
は並走する一般国道がないので、未開通区間を含み東海北陸自動車道を直通する場合 
は、一宮JCTと荘川ICの間から、国道156号区間を経て、白川郷ICと小矢部 
砺波JCTの間を利用することになる。

◆図5 東海北陸自動車道と北陸自動車道の延長と通行時間の関係を示す。 東海北陸自動車道の未開通区間は、延長と構造から時速70キロでの走行を想定して 通行時間を算定した。一般道路を含めすべての開通区間の走行時間は、道路時刻表2 003年版」(道路整備促進期成同盟会全国協議会発行)に記載されている値を採用 した。
 つまり、飛騨トンネル区間開通前は、荘川ICと白川郷ICの間の36.8キロは 
一般国道156号を利用して直通するのである。この区間の走行時間は55分である。
 そして、飛騨トンネル区間開通後は、全区間を通して東海北陸自動車道を利用して 
直通することになる。

 荘川ICと白川郷ICの間は43.9キロで、走行時間は35 
分と考えられる。飛騨トンネル区間の走行速度は前後の2車線対面通行区間と同様と 
想定している。(飛騨トンネルは開通すれば国内最長の2車線対面通行のトンネルに 
なるため、ほかのトンネル区間に例のない低速度に規制される可能性がある。本報告 
ではその可能性を敢えて否定して走行時間を想定した。)

 飛騨トンネル区間を含む荘川ICと白川郷ICの間は、先述のように高山市への利 
便性のために東に反れているため距離は一般国道経由よりも7.1キロ長くなる。そ 
れでも、高速道路なので走行時間は20分短くなる。

 わずか20分だが、東海と北陸との連絡に北陸自動車道から東海北陸自動車道への 
シフトを拒ませる。この20分はあくまでも普通車が昼間に良い天候に走行したケー 
スの時間である。この区間の国道156号は御母衣ダム関連の代替区間において大型 
車のすれ違いができない幅員の狭いトンネルが多数存在する。また、冬季の積雪期間 
には様々の規制が実施される。四季を通じて大型車の定期便ルートを想定しにくい道 
路構造である。

飛騨トンネル区間の開通前(荘川ICと白川郷ICの間は国道156号経由)と開通 
後、それに北陸自動車道ルートの接続点間の距離と通行時間をまとめた。(◆図5)
一宮JCTと小矢部砺波JCTの間は、北陸自動車道ルートが西寄りにかなり大回り 
していることがわかる。通行時間の分析は、この図をベースに考える。

通行料金は、ジャンクション間では出入口がないので料金が算定できないので、イン 
ターチェンジ間を対象にしなければならない。
東海地方の代表インターチェンジには、一宮JCTから一つ名古屋寄りの一宮ICを 
基準にした。この想定で一宮IC以東のインターチェンジが分析対象になる。一宮I 
C以西(名神高速道路)、以北(東海北陸自動車道)については分析対象外とした 
が、一宮ICまでの距離から差し引きすればある程度理解できると思う。

続く