ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

マンハッタンの高速道路ネットワーク9





◆俯瞰画像2
バッテリーパーク
ワールドトレードセンターから南方向をのぞむ。
(1990年9月14日 著者撮影。)
 一般道路であるウエストサイド通りだけになったマンハッタン西部は、◆地図2で 
わかるように不自然で、隣接するニュージャージー州を含むニューヨーク都市圏の高 
速道路ネットワークが、その中心であるマンハッタン区で途切れている。

ハドソン川岸はニューヨーク側の左岸も、ニュージャージー州側の右岸も上流まで 
バースが設置される港湾機能を果たしていた。工業製品の搬入出の大型車の交通需要 
が多かった。ニュージャージー州側は内陸部が工業地帯なので問題ないが、マンハッ 
タン側は高度に市街化した商業地、住宅地が隣接している。

 ウエストサイドハイウエ 
イは、これらのエリアの静寂と安全を確保するための重要なバイパスだった。ところ 
が、マンハッタン側のバースは順に埋め立てられて工業需要は少なくなってきた。そ 
れでも埋め立て地に建設されたオフィスには第三次産業の新たな需要が発生してきて 
いるので、ウエストサイドに高速道路は必要である。

 結局、全線地下トンネル構造として建設が進められることになった。2003年現 
在未開通だが、開通すればニューヨークでは久々の高速道路の新規開通である。


【エアポートアクセスの頓挫】
 ◆広域図1のBにあたる区間(マンハッタン島内はEの区間)は、マンハッタン南 
端のダウンタウンとJFK国際空港の短絡ルートである。このルートが計画線のまま 
であるということは、ニューヨークには最重要アクセスであるエアポートアクセスが 
ないということである。2003年現在全区間で着工の目処はたっていない。

 ニューヨークは巨大都市で、マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クイーン 
ズ、それにリッチモンド(ステイトンアイランド)の5区に分けられている。ところ 
が都心は最も狭いマンハッタンに集中していて、ほかのエリアには副都心は見当たら 
ない。したがって、JFK国際空港に到着する外来者の多くがマンハッタンに向か 
う。荷物が多いので車を利用ことになる。すると、どのルートをたどっても結構な大 
回りをしているのである。

◆広域図2
JFKとマンハッタンDT(ダウンタウン)との高速道路ルート図。
 ◆広域図2は、マンハッタンのダウンタウンとJFK空港の高速道路ルートであ 
る。JFK空港からは北上するか西進するか選択できる。一見西進が有利だが、この 
ルートはこの先で大きく南にブルックリン区の外周の海岸線を回りこむのでかなりの 
遠回りになる。ショアパークウエイで迂回するルートはエアポートアクセスとは考え 
ないことにする。したがって、まずはバンウィック高速道路を北上してフラッシング 
メドウコロナ公園に至る。

 ここで2ルートに分かれる。そのまま北上してラガーディア空港の南側からワーズ
アイランドを経てマンハッタン124ブロックに達するルートをラガーディアルート
とする。もうひとつはフラッシングメドウコロナ公園内のジャンクションでロングア
イランド高速道路に亘るルートである。クイーンズ区を西進してクイーンズミッドタ
ウンTNでマンハッタンの36ブロックに至る。このルートをミッドタウンルートと
する。

 どのルートもマンハッタンのどこに至るかによって通過時間に差異が生じる。34 
ブロック以南で接続がスムース(高速道路の出口に便利な)市街地を目的地とした。 
ラガーディアルートはFDRドライブの出口から近い24ブロック、ミッドタウン 
ルートはクイーンズミッドタウンTNの出口から近い34ブロック、いずれもダウン 
タウンではなくミッドタウンである。ダウンタウンまではFDRドライブを利用する 
か島内の街路を通過する。

 一見、ラガーディアルートは北側に大回りしすぎていて、ミッドタウンルートとは 
比較にならないように見える。しかし、ミッドタウンルートの交通量は多く、クイー 
ンズミッドタウンTNがネックに慢性的に渋滞している。案外ラガーディアルートの 
方が早いときが多い。それでも短絡ルートの計画線の利便性にはかなわない。短絡
ルートはダウンタウンに直行するので、マンハッタン島内の街路での渋滞も回避する 
ことができる。

続く