ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

阪神高速・第二環状線11



 1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」のために仮設された近畿自動車道 
の門真入口である。中央環状線と花博通の交差点から、中央環状線を北に約1キロで 
既存の門真IC入口に到達するが、花博関連車両の交通集中起因で中央環状線の流れ 
を阻害しないように、花博通の中央分離帯にランプを設置した。中央環状線の手前で 
左にカーブして近畿自動車道北行き本線に合流する高架橋である。料金所は、花博通 
の中央分離帯にランプの手前に設置されていた。

 花博閉会後、門真(仮)入口は閉鎖され、ランプも撤去されたが、近畿自動車道に 
合流する箇所だけが残された。この合流部がそのまま門真JCTの一部に流用される 
か不明だが、流用できる構造にはなっている。

 大規模イベントが開催されるときに、高速道路に仮設出入口が設置される例は多 
い。関東地方では1985年に常磐自動車道の谷田部(仮)出口が設置された。既存 
の谷田部IC出入口は「つくば科学万博」の交通集中に耐えられるものではないし、 
この機会に料金所施設を増設しても、閉会後の需要は見込めない。そのため、谷田部 
ICよりもやや会場寄りの地点に常磐自動車道下り線(東京方面)からだけ利用でき 
る仮設出口を設置した。堀割構造の本線の側面を削って設置したが、盛り土構造だっ 
たため撤去されると何ら形跡を残さない。近畿自動車道のように明確な構造物を残す 
ケースは珍しい。

 第二環状線は、門真JCTに西から接続する淀川左岸線3期から近畿自動車道を南 
下するルートになる。門真JCTの構造は未定だが、第二環状線にあたる亘り線の交 
通容量を大きくするかたちにはならないだろう。第二環状線はあくまでもネットワー 
クの概念であり、実交通量が追随するものではないからだ。淀川左岸線3期からは圧 
倒的に直通する第二京阪自動車道への交通量が多いはずである。

 近畿自動車道を南下すると、すぐに大東鶴見ICの分合流がある。大東鶴見IC以 
南は本線が6車線になる。
 東大阪北ICの分合流の南に東大阪PA(パーキングエリア)がある。このパーキ 
ングエリアは近畿自動車道の高架下空間に設置されたもので南行き(松原方面行き) 
のみが利用できる。構造は、首都高速湾岸線西行きの市川PAと似ている。

 さらにその南にダイナミックな線形の東大阪JCTがある。阪神高速13号東大阪 
線と全方向連絡するフルジャンクションである。一見、横浜新道と保土ヶ谷BPの新 
保土ヶ谷ICの線形に似ているが、阪神高速東大阪線の環状線方面から中央環状線南 
行きへの出口、水走方面との出入口が併設されているので複雑になっている 。また、 
近畿自動車道を挟む中央環状線は、阪神高速東大阪線の下に中央大通をオーバーパス 
しているので、南北方向は近畿自動車道本線および東大阪JCT亘り線と合わせて1 
2車線分の高架橋が中央大通を越えている。この高架橋を含む東大阪JCTの構造物 
はすべて高架橋なので、橋脚群が林立している。俯瞰(航空写真)では実感しにくい 
のが残念だ。機会があれば下部からの画像も紹介したい。

◆航空写真8
近畿自動車道
 八尾ICと松原JCTの間
阪神高速(14)松原線
 松原JCTと大堀Rの間
 近畿自動車道は、東大阪市、八尾市、大阪市平野区を縦断して、松原市の松原JC 
Tに至る。

 東大阪JCTと松原JCTの間は、東大阪JCT以北に比べてインターチェンジ間 
隔が長く、松原方面と相互連絡する東大阪南IC、吹田方面と相互連絡する八尾I 
C、それに松原JCTの直北に西名阪自動車道、阪和自動車道と相互連絡するための 
長原ICの3箇所しかない。いずれもハーフインターチェンジなので、北行き本線か 
らは2箇所(長原IC出口、東大阪南IC出口)、南行き本線からは1箇所(八尾I 
C出口)しかないことになる。都市間高速道路の様相である。

 北行きは、東大阪南IC出口の手前に八尾TB(集約料金所)が設置されている 
が、料金所渋滞は希である。はるか先の吹田JCTをアタマにして渋滞列がここまで 
到達するケースの方が多い。南行きは、松原JCTをアタマにした渋滞列が長原IC 
まで到達することがある。かつてはさらに先に伸びていたが、西名阪自動車道の松原 
TBの改良により1キロ程度で止まるようになった。

 この渋滞列は松原JCTから西 
名阪自動車道への渋滞列なので、第2、3レーンを阪和自動車道へ直通する場合はス 
ムースである。なお、吹田JCTをアタマにした渋滞列は全レーンいっぱいの致命的 
なもので、回避策はない。東大阪南ICで降りるか、東大阪JCTまで我慢して阪神 
高速東大阪線に迂回するしかない。しかし、このとき東大阪線がスムースである可能 
性は低い。

◆写真7
松原JCT
ジャンクションの右方向は近畿自動車道、左方向は阪和自動車道、奥方向は阪神高速 
(14)松原線、手前方向は西名阪自動車道である。
(1998年12月15日、阪神高速道路公団発行「道夢(Vol.56)」から引 
用。)
 さて、松原JCTは一見、全方向連絡のフルジャンクションのようだが、実は近畿 
自動車道と阪神高速松原線の亘り線はない。現時点では、松原線は環状線方面しか連 
絡していないので、このルートの需要はない。環状線方面と近畿自動車道の長原I 
C、または東大阪南ICの間を利用するケースが考えられるが、前者は松原線の大堀 
Rの利用で十分だし、後者は東大阪線の長田Rまたは東大阪JCT併設の出口で十分 
である。敢えて別料金の近畿自動車道を利用するメリットはない。

 ところが、松原線に大和川線が接続して湾岸線に連絡するようになれば必要な亘り 
線である。
 また、この亘り線のルートが第二環状線のルートにあたる。(◆地図1を参照。)

◆地図1
松原JCTにおける大阪第二環状線の線形。
松原JCTには近畿自動車道東大阪方面と阪神高速道路環状線方面への亘り線はな 
い。現在は需要がないのでこの構造で問題はないが、大阪第二環状線として構成され 
るまでもなく大和川線として湾岸線まで開通するときには必要な亘り線である。現在 
は第二環状線ルートの亘り線を追加できるような構造になっていない。阪和自動車道 
から西名阪自動車道へのループで交通容量が少なくなり渋滞のネックになっているの 
で、この構造の見直しを含めて大きな線形改良により亘り線を追加すれば良いと思う。

続く