ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

清水連絡路1



【はじめに】
 第二東名高速道路の工事進捗段階についてどの程度ご存じだろうか。第二東名
高速 道路は、東京と名古屋を結ぶ東名高速道路のバイパスとして計画、着工さ
れた大規模 な国家プロジェクトである。330キロにおよぶ高速道路は、全線
を同時に供用する ことができれば理想的だが、各地の事情により進捗はばらば
らで、同時開通どころか 永遠に全通しないかもしれない。

 東京、横浜では未着手で、都市計画決定していない。つまり構想線のままである。

 相模では東名高速道路とのジャンクションなどの工事を目の当たりにしている
の で、案外工事が進んでいると思うかもしれない。

 東海地方では東名高速道路と交差する豊田JCT(ジャンクション)が完成し
てい るし、伊勢湾岸自動車道が名古屋市南部を抜けて三重県まで開通してい
る。しかし、 東名高速道路と接続する一部区間が未開通であるため東名高速道
路に替わる大動脈と いう意識が低い。2004年度に伊勢湾岸自動車道が全通
して東名高速道路と東名阪 自動車道が直結すれば意識は高まるが、豊田東
JCT以東の愛知県内は未着手のまま である。やはり東京まで連続走行できな
ければ東海地区でのインパクトはない。

 さて、第二東名高速道路の通過延長が最も長い静岡県はどうだろうか。
 結論を先に記すと、地元では開通間近という実感を抱いていると思われる。東
名高 速道路とは比較にならない大規模な構造物が次々に出現して、第二東名高
速道路本線 だけでなくインターチェンジに接続する一般道路も各地で工事が進
められている。ま た、東名高速道路との接続箇所では、ジャンクションの建設
や関連工事が進み、現道 の拡幅は一部完成供用している。

 財団法人高速道路技術センターから2004年3月に発行された「EXTEC
 N o.68」によると進捗段階は、第二東名高速道路においては、御殿場
JCTと長泉 沼津IC(インターチェンジ)の間が5または6、長泉沼津IC
から引佐JCTまで は6である。第二東名高速道路接続関連の東名高速道路の
工事は、御殿場JCTと駒 門PA(パーキングエリア)の間が7(現道拡幅は
一部供用済)である。また、清水 連絡路、および引佐JCTと三ヶ日JCTの
間も6である。

 進捗段階6は本体の土木工事に着手して、当該ルートに構造物が次々に出現す
る全 面展開状態のことである。進捗段階5は用地買収中である。つまり、第二
東名高速道 路の静岡県内区間は、最後に着手した御殿場JCTと長泉沼津IC
の間に一部用地買 収中の区間があるだけで、ほかはすべて用地確保済みという
ことである。技術的にネ ックになる長大トンネルや橋梁区間はないので、財源
確保状況により開通時期が左右 されるだけである。

 なお、進捗段階7は舗装工事および施設工事(防音壁、照明灯、 交通情報板
など)にあたる。沿道に容認されずに強引な工事を行ったケース以外では 1年
以内に開通すると考えられる。進捗段階6は早ければ2年以内、遅くとも5年以
内には開通すると考えている。なお、第二東名高速道路の当該区間は2004年
度の 開通区間には含まれていない。したがって、2005年度以降の開通にな
ることが確 定している。

◆地図1
第二東名高速道路の路線図、および清水連絡路付近の拡大図。
第二東名高速道路の赤線は、2004年3月時点で本体工事に着手している区間
であ る。黄点線区間は着工準備中である。
東京側の端点は海老名南JCTだが、さらに東京方面への構想線がある。ルート
が確 定していないので記載できない。また、名古屋側の端点は豊田東JCTだ
が、この先 は伊勢湾岸自動車道という路線名で連続している。伊勢湾岸自動車
道は、2004年 3月時点で豊田東JCTと豊田東ICの間、豊田JCTと豊
田南ICの間が未開通だ が、工事進捗は順調で2004年度中に全区間が6車
線のフル規格で開通する。


 第二東名高速道路における道路行政への疑問を投げかける斜に構えた視点での
ポイ ントは、財源確保と借財の償還期間の見込みの甘さを指摘するものであ
る。本件に関 しては、にわかジャーナリストよりも正確な数値情報を経年的に
入手していて彼らの 刹那的な意見を駆逐することもできるが、本件については
関心がないので積極的に記 すのは遠慮しておく。

 ほかの報告でも記したが、数値はトリッキーなところがあるの で、同じデー
タを有利にも不利にも帰結させることができる。にわかジャーナリスト はデー
タそのものが不適切な(データが古いものや、ソースデータではなく帰結に都
合の良い一部分をピックアップしたデータなど)ことが多いので、空しい結論に
至る ことがある。目に余る事態に展開しそうになったら少しは意見をまとめよ
うかと思っ ているが、民営化委員会の空中分解により、世論は沈静化したの
で、その機会はなく なったかもしれない。

 新たな高速道路会社に関する資料は国土交通省のWEBサイト で入手でき
る。特別な関心はないが向学のために読んでいる。新聞やテレビなどのマ スコ
ミから発信される情報は少なからず「意見」を交えているはずである。くだんの
資料はマスコミが入手したニュースソースと同じなので、マスコミの解説を鵜呑
みに せずに独自に判断することができる。案外、本質が見えてくると思う。

 ほかに、純然たる視点として、大規模土木工事の工法に着目するポイントがあ
る。 第二東名高速道路では多くの新技術が導入されている。おおむね建設費用
を抑えるも の(開通後のメンテナンス費用を抑えるものや工期が短縮されるも
のを含む)と、環 境保全を重視したものの2つに分けられる。

 前者は、「PCコンクリート箱桁橋における波形鋼板の採用」「トンネル照明
器 具、壁面の無人清掃装置の設置」「組み立て橋桁の送り出し工法の採用」
「TBM (トンネルボーリングマシン)の上下線間でのUターンの採用」「鋼
コンクリート複 合アーチ橋の採用※」など。
 後者は、「橋脚下部における竹割型構造物掘削の採用」「トンネル掘削時の岩
石搬 出、湧水排出で連続ベルトコンベアの採用」「谷間で盛り土構造ではな
く、高橋脚、 長スパンの高架橋構造の採用」など多数におよぶ。
 これらについては、関心の高い人が多く、建設する側にとってはアピールしや
すい ポイントなので、資料は豊富である。手元にも多くの資料があり、WEB
で信頼でき るサイト(JH静岡のサイトからリンクをたどればよい)から情報
を入手することが できる。当方も財源問題よりは関心があるが、結局は情報発
信側の資料に記載された ことの転記になるので、キーワードの列記のみで止め
ておく。

続く