ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

日本〜フランス・ジャンクション比較18



 道路先進国の欧米における高速道路は、あくまでも一般道路の延長上にある。
建設 すべき箇所のみに無理をしない構造で整備されている。日本や、日本に
倣ったアジア の高速道路は、高速道路が特化した構造で浮いている。欧米の高
速道路は、日本の一 般道路の自動車専用道路に近い。郊外は高速で走行できる
が、都市内を通過する区間 は速度低下が強いられる。その度合いが著しい場合は、
 (1)車線を追加する、 (2)通過専用車線を設置する、(3)都市を迂回
するルートを新設する、ほかにも 条件に応じて対策される。通過する都市の条
件にとらわれることなく、遠く離れた大 都市間を同じ規格で整備されるのは希
である。希と記したが、当方は欧米ではその例 を知らない。

 今後、各道路公団の一元化により、都市高速道路と都市間高速道路は同じ組織
に組 み込まれる。既存の道路構造を変更することは難しいが、通行料金など運
用面で柔軟 に垣根をはずしてほしい。新規路線については、これまでの都市計
画をすべて白紙に して、画一的な構造ではなく沿道の状況に応じた構造に見直
してほしい。交通需要予 測も区間ごとに細かく分析して道路構造を変えれば、
後から手直しすることも少なく なると思う。

 今後、広島市内には典型的な都市高速道路構造の高架道路が新設される。多数
の橋 脚の上に複雑な梁が空中に浮かび上がる。南北方向が先に整備されるが、
派手で高価 な構造物に需要はあるのだろうか。山陽道の広島東ICと間所の間
にはある程度需要 があるが、これは通行料金がリーズナブルな安芸府中道路の
格上げ区間であるせいだ と思う。

 広島駅や仁保まで延伸すれば便利にはなるが、通行料金が値上げされれば果
たして利用するだろうか。北九州高速道路は、当初から需要がなく高価なジャン
クシ ョンは使われないオブジェにすぎなかった。北九州道路と北九州直方道路
が格上げさ れて、これらの道路の延長として既存の都市高速道路が利用できる
ようになり、よう やく有効活用されるようになった。高価な都市高速道路は余
程の需要が見込めなめれ ば、費用対効果で良好な結果は得られない。広島、北
九州には首都高速のような構造 は過剰投資である。広島高速、北九州高速とも
にすでに当初計画の見直しを始めてい る。高度成長期が終焉して、ようやく気
づいたようだが、いかにも遅い。

 仙台には都市高速道路はないが、仙台南部、東部、北部道路が、東北自動車道
や三 陸自動車道と一体化して、良好な需要を得ている。高価な高架構造は必要
な区間だけ に適用され、沿道の市街化が進行していない区間には土工が適用さ
れている。都心ま では進入していないが、西側は東北自動車道の仙台宮城IC
と接続する仙台西道路が 青葉通りに達している。西公園で立体交差は終わる
が、ここからは都心の目的地に平 面的に分散されるので、これで十分だろう。

 仙台西道路は一般道路の自動車専用道路 で通行料金は不要である。仙台西道
路は都心までのアプローチなので、この道路を利 用して仙台市を東西に横断す
るリンクにはあまり都合が良くない。仙台市都心部に用 のない車両は仙台南
ICから仙台南道路を利用する方が便利である。将来は北部道路 も富谷で東北
道に接続するので、北側にも通過ルートができる。なお、北部道路は2 002
年のワールドカップ会場への連絡道路として急遽整備が促進された。

 ところ で、仙台市を通過する東西方向のリンク需要はそれほど多くはない。
当面は南部道路 だけで十分である。利府しらかし台までの開通区間は仕方がな
いが、ここから富谷ま では南部道路の交通実態を見てゆっくり整備していけば
良いだろう。北部道路の全通 により高速環状線が成立するが、需要がなければ
ループにこだわる必要はない。

◆比較地図1 広島市と仙台市の高速道路網。 同じ縮尺で高速道路の路線図を表記している。広島市は都心まで都市高速道路が 進入 するかたちになっている。広島高速は3区間が開通している。湾岸以外の 2区間は既 存の一般有料道路や、工事中に一般有料道路から広島高速に格上げ された。これは土 工がベースになっている。ほかの都心内の区間は広島駅北口 に連絡するトンネル区間 の前後以外は高架、または半地下の典型的な都市高速 の構造である。この図は200 4年4月時点の路線図で、それ以前には広島駅 北口から中広を経て湾岸に至る構想線 があった。都心を周回する環状線が構成 される。しかし、これは無謀と判断されて構 想線からはずされた。

続く