ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

あわただしい道路1



【はじめに】

 日本一あわただしい道路はどの道路のどの区間だろうか。あわただしいとはい
かに もあいまいな表現である。まず、この定義を決めなければならない。
 交通量が多く、車線数が複数で、分合流区間が連続して、ある程度高速で通過
でき る区間。これでも数値化することは難しいが、道路交通は数値だけではな
かなか表現 しにくいものなので、この程度の分類でもなんとか特定することは
できるだろう。

(1)交通量
 1日平均で50000台以上とする。
(2)車線数
 片側2車線以上とする。
(3)分合流
 短区間に分合流ポイントが連続する。
(4)走行速度
 設計速度60キロ以上の高規格幹線道路とする。
(首都高速環状線など60キロを下回る区間もあるが、都市高速道路は全区間を
対象 とする。)

 当方は道路に関する数値情報をよく見ているが、(3)の条件にはあいまいさ
があ るため統計処理だけでは答えは見つけられない。各地の思い当たる区間に
ついて順に 検証していく。

 最初に思いつくのはやはり首都高速である。環状線内回りの銀座R(ランプ)
分流 (出口)、銀座R合流(入口)、新富町R分流(出口)、京橋R分流(出
口)、京橋 JCT(ジャンクション)合流、宝町R合流(入口)は、なかなか
あわただしい。本 線に対して、左分流、左合流、右分流、左分流、右合流、左
合流と目まぐるしい。本 線の構造も狭い堀割でオーバークロス橋が多く、カー
ブもきつい。この区間の通過時 間※は90秒くらいである。90秒で6回の分合
流が連続するこの区間は正解候補と して十分である。

※通過時間
 3回以上の実走による通過時間の平均値から算出した。停滞に近い渋滞時の
データ は使用せず、おおむね設計速度の120%くらいの速度で通過できた
データを採用し た。本稿における通過時間はすべてこの条件で算出している。

 しかし、この区間が正解では納得できない。なぜだろう。本線を通行する場合
のあ わただしさは合流ではなく分流の連続である。この区間は分流に絞れば3
回である。 分流だけの区間では銀座R分流(出口)から京橋R分流(出口)ま
でになる。この区 間の通過時間は55秒である。55秒で3回でも十分かもし
れないが、この程度なら ばほかにも候補はあるだろう。

 また、この区間は分流の交通量に対して本線通過交通 量が多い。つまり、ほ
とんどが分流しないのである。分流に伴う判断が強いられない ならばそれほど
ストレスは感じない。これはあわただしいとは言えないのではないだ ろうか。
あわただしいとは通過する機会に緊張を強いられるケースの多い区間ではな い
だろうか。

 さらに、銀座R出口を見過ごして京橋R出口で分流しても致命的なロスは発生
しな い。数分で取り戻せるし、料金も余計にかかることはない。やはり、間違
えるととん でもないことになる分流が連続する方が、より緊張を強いられる
し、あわただしい区 間にふさわしいと思う。

続く