ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

佐賀県が注目されている 6



 以下は当方の妄想である。

 まず、伊万里湾大橋を含む伊万里港臨港道路と立地条件が似ている名古屋市の
名港 西大橋の進化について記した。しかし、東海道幹線に吸収されるという離
れ業とは、 あまりにも潜在需要の差異が大きいので比較にはならない。それで
も、「幹線道路に 吸収させる」という方策には何かヒントがあるような気がする。

 2004年4月17日、松山自動車道の大洲北只ICと西予宇和ICの間
15.7 キロが開通した。2車線の暫定対面通行による供用である。この開通
のユニークなと ころは、これまでの松山自動車道の西端の大洲ICと連続して
いないという点であ る。正確には松山自動車道の延伸ではなく、離れたところ
に独立した区間が開通した のである。全通以前の高速道路の開通区間には、こ
のような離れ小島のような区間も 発生しているが、一時的な措置である。

 ところが、大洲ICと大洲北只ICの間を高 速道路でつなぐ計画はない。実
は、この区間は大洲道路という国道56号のバイパス がつないでいる。自動車
専用道路で交差点は立体化されているが、一般道路なので無 料供用である。2
つの松山自動車道に挟まれた大洲道路は国道56号を連続利用する リンクなど
大洲市街地を回避する様々なリンクに利用される。松山自動車道に比べて 交通
量は多いが、4車線のフル規格なのでピーク時でも何とかスムースに流れてい
る。一部の出口では、出口ランプの先の信号交差点に起因する滞留列が分岐部ま
で伸 びることがあるが、本線の第2レーンまで停滞させることはほとんどない。

 高速道路の新規開通区間の交通量は、大洲北只ICと西予宇和ICの間のよう
に終 点が潜在需要の大きな都市に到達していないケースではそれほど多くな
い。この区間 の2004年5月は1日あたり5475台である。末端区間にし
ては多い方である。 しかも、先述のように松山自動車道の既存区間と連続して
いないので、通行料金は ターミナルチャージを2回支払わなければならない。

 割高※であるにもかかわらず、 既存区間の交通量も増えている。松山ICと伊
予ICの間が前年比で10%増、伊予 ICと内子五十崎ICの間が12%増、
そして内子五十崎ICと大洲ICの間が17 %増である。離れ小島のわずかな
区間の開通でも、本元の交通量を増加させる効果を 発揮しているのである。大
洲道路が2つの高速道路をつなぐことにより、離れた2つ の高速道路を連続利
用するようなシフト効果をもたらしたのだ。

※通行料金が割高
 例えば、松山ICから西予宇和ICに向かう場合、大洲TBで松山ICと大洲
IC の間の料金(普通車1250円)を支払い、大洲松尾TBで大洲北只IC
と西予宇和 ICの間の料金(普通車550円)を支払う。合わせて1800円
である。前者が4 2.0キロ、後者が15.7キロなので、合わせて57.7
キロになる。この距離を 通して利用した場合は1650円になるはずである。

 ターミナルチャージを2回支払 った分だけ高くなる。ところで、この2区間
をつなぐ大洲道路の区間延長5.9キロ は無料だが有料と仮定すれば、松山
ICと西予宇和ICの通算距離63.6キロに相 当する通行料金は1800円
になる。つまり現行と同じである。実は、この論理で同 じ料金になる地点とし
て松山ICからの利用を想定したのだ。松山IC以外からの利 用では、それほ
ど差異はないが同じというわけではない。料金云々には関係なく、既 存区間の
交通量が10%以上増えたことに着目してほしい。

続く