ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

名古屋高速・山王・苦労が見え隠れする魅力1



 名古屋高速都心環状線の山王カーブでは拡幅工事が行われている。緊急渋滞対
策と して2007年度に完成する。工事経緯などは名古屋高速道路公社の
WEBサイトに 詳しいので、ここでは省略する。当方がこの工事に着目したの
は、予定外の工事によ るいびつな下部構造が気になったせいである。高速道路
の計画は開通後20年くらい 先の需要を見越しているが、なかなか予定通りに
はならない。交通量が思うほど伸び ないときは無駄な投資と批判され、道路構
造起因の渋滞が発生すれば見通しが甘いと 批判される。前者はとりあえず放置
するしかないが、後者は何らかの対策を施さなく てはならない。

 東名高速、名神高速ではほとんどのインターチェンジで何らかの改良 が施さ
れ、本線においても多数の拡幅が施されている。それでも不足ということで第
二東名、名神の建設が進められている。最後の「第二」は純然たる渋滞対策とい
う気 はしないが、それでも当初の予定を上回る交通量が、改良プロジェクトを
派生させて いる。ところで、都市間高速道路は多くの区間が土工なので、拡幅
しても、案外きれ いなかたちで仕上がる。例えば、東名高速の厚木IC(イン
ターチェンジ)と大井松 田ICの間、名神高速の栗東ICと瀬田東ICの間
は、かつて4車線だったことを感 じさせない。

 さて、当初の予定を上回る交通量による本線改良機会は、やはり都市高 速に
多い。首都高速、阪神高速には多数の改良が施されている。首都高速環状線の汐
留JCT(ジャンクション)と浜崎橋JCTの間は、かつて4車線だったが、6
車線 に拡幅された。本線を走行すると第1レーンと第2レーンの間に継ぎ目が
あることが わかるが、特に意識しなければ後から拡幅したことはわかりにくい。

 しかし高速下の 海岸通りを走行すると拡幅は一目瞭然である。4車線分の高
架橋を支える橋脚とは別 に、両側に1車線ずつの拡幅分を支える橋脚が交互に
並んでいる。橋脚の本数が多す ぎるのである。このように高架構造の都市高速
の改良では、本線のつじつまを合わせ るために、見えないところで苦労してい
る。当方は常々「首都高速は上を走るのでは なく下からながめるのがおもしろ
い」と発言している。高速道路、特に都市高速道路 に関心を持って、大量の写
真を撮影してきたが、やはり橋脚の写真が多い。

 名古屋高速は、首都高速に27年遅れて、1979年7月25日に現在の3号
大高 線の高辻R(ランプ)と大高Rの間(10.9キロ)が初開通した。これま
で、ほぼ当 初の予定通り建設が進められ、開通延長に比例して交通量も伸びて
いる。2006年 現在、単位あたりの交通量は首都高速、阪神高速よりも多
い。全交通量を開通延長で 割った値が多いということは、開通区間はいずれも
順調に需要があるということであ る。首都高速はいつも渋滞しているというイ
メージがあるかもしれないが、大宮線、 川崎線、湾岸線の本牧以南は空いてい
る。阪神高速においては、北神戸線、神戸山手 線、湾岸線の中島以西および助
松以南は空いている。

 名古屋高速において、細かい改良を除くと、開通後に予定外の改良が加えられ
たの は、3号大高線の知多半島道路分岐から枝分かれするかたちで大高R(出
入口)が付 加されたくらいである。知多半島道路は中部空港方面につながる有
料道路で、次の出 入口は大府市の大府東海ICである。その先の国道23号分
岐は立体交差道路の23 号に直結し、次の出入口はこちらも大府市の共和IC
である。さらにその先は終点の 名古屋南JCTで伊勢湾岸自動車道に直結して
いる。

 つまり、大高の一連の出入口は 大高地区には一切連絡していない。大高地区
との連絡は、大高の手前、都心寄りの笠 寺Rを利用するか、大高Rから国道
23号で共和IC、さらにその先の有松ICを利 用するしかない。いずれも2
キロ以上のロスになる。そこで、地元へのサービスとし て出入口を追加したの
だ。しかし、知多半島道路が土工区間で、元々の接続ランプは 高架構造ではな
い。路肩を拡幅して出入口を追加した。そのため、出入口が追加され たという
痕跡はほとんど残っていない。


 開通時期は下記の通りである。
 1979年 7月25日 (都心)高辻Rー知多半島道路出入口、国道23号
出入口
 1996年10月14日 大高出口(大高地区への出口の追加)
 1997年 3月27日 大高入口(大高地区からの入口の追加)
 2003年 3月23日 大高ー名古屋南JCT(伊勢湾岸自動車道と直結)
 大高地区の出入口は、本線開通後17年を経て追加された。

◆地図ー大
名古屋高速(3)大高線 大高R位置図。
撮影位置図。

◆写真ー大1
名古屋高速(3)大高線 大高R(出口)
名古屋市大高町
右側の分岐が追加された大高出口、左側は知多半島道路直結路。
(2005年12月23日、著者撮影。)
  

続く