ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

豊洲・1004−(03)



【2013年度から】

 首都高速晴海線で最も気になっていなことは、「遠大な高速道路構想をどこま
で実現するつもりなのか」ということである。深刻な渋滞を引き起こしている首
都高速東京線の良好な流れを取り戻すため、環状道路の建設に力を入れていた。
首都高速中央環状線、東京外環自動車道の整備である。前者は全通の見通しが
立っている。後者は、湾岸と東名高速の間を除き、なんとか開通させることがで
きそうだ。これらの整備で通過交通の多くが都心区間を迂回することになるだろ
う。それでも湾岸線の渋滞は残ると予測されている。湾岸と都心のアクセスが弱
いということである。都心直結は9号深川線と11号台場線だけで、このルート
に集まる区間の渋滞は解消しない。中央環状品川線の大井接続で東京港トンネル
の双方向、および東京外環自動車道の市川接続で葛西JCTまでの西行きは、現
在よりも流れが悪くなると考えられる。東京港トンネルは、一般道路(国道
357号)用のトンネルを両側に併設することになる が、それだけでは十分で
はないだろう。
 10号晴海線は、3番目の湾岸と都心とのアクセスルートに組み込まれてい
る。今回の開通区間、および開通目処の立っている区間は、都心の東端までの接
続なので、十分な機能は果たせない。少なくとも首都高速環状線に接続させる必
要がある。さらにまっすぐ伸ばして新宿に連絡する構想がある。また、湾岸線の
渋滞の抜本対策として第二湾岸道路の構想がある。これは構想に止まらず、すで
に部分開通している。大田区東海から、臨海トンネルを経て中央防波堤までの区
間は開通している。さらに東京港第三航路を渡る臨海大橋を経て江東区若洲まで
建設が進められている。これらは一般道路だが、トンネル出入口には本線立体交
差道路を延長できるかたちになっている。10号晴海線は東雲JCTからさらに
湾岸を進み、中央防波堤外側埋め立て地で 第二湾岸道路に延長する構想がある。

晴海線延伸には、
(1)東雲JCTから第二湾岸道路までの区間
(2)晴海(仮)出入口から首都高速環状線接続までの区間
(3)首都高速環状線接続箇所から新宿までの区間
の3つの構想があるのだ、

 構想では、具体的な可否はあまり重視されず、理想的なルートを設定する。
「東名高速は混雑するので、もう1本東名高速をつくろう」という程度である。
幅の広いペンで地図に線を引くのである。それを具現化するときにようやく可否
を検討する。新東名の場合は、結局、東京から海老名までの区間を保留のまま着
工している。2012年には御殿場JCTから三ヶ日JCTまで開通する。
2020年ころまでに海老名から新名神まで連続する予定だが、東京までは到達
しない。海老名からは、圏央道(さがみ縦貫道)、新湘南バイパス、横浜湘南道
路、横浜横須賀道路金沢支線を経て、首都高速湾岸線に連絡する。自動車専用道
路で東京までつながるが、現道の東名 高速に比べて、いかにも遠回りである。

◆地図4
 首都高速10号晴海線の全体計画路線図。
 晴海線が晴海までの路線ならば、10号という大げさなナンバリングは不要で
ある。環状線に接続し、第二湾岸道路に接続し、新宿までの延伸する構想のある
東京の 新都市軸なのだ。
 晴海線の延伸構想では、(3)は新東名の東京到達よりも無理がある。銀座、
霞ヶ関、四谷を経る最短ルート(おおむね、晴海通り、内堀通り、新宿通りに併
走)として、地上を高架構造で通過することは考えにくい。国会議事堂、皇居を
見下ろすかたちで高速道路が設置されるはずはない。新宿通りは可能ではある
が、沿道環境に著しい悪影響を与える事は間違いない。環境アセスメントの段階
で却下になるのがオチである。当然、地下に建設されることになる。ところが、
ほぼ全区間に並行、直交するかたちで地下鉄が開通している。また、地下鉄トン
ネルと変わらない大きさの共同溝も埋まっている。東京外環自動車道の東名高速
と大泉JCTの間のように大深度地下トンネルを採用するしかない。このルート
の構想は夢物語ということで、あまり強いアピールをしているリーフレットは見
たことがないが、数少ない提案メモを見ると、螺旋状のアクセス路で一気に地下
40メートルに到達し、そこからまっすぐ進み、入口と同様の螺旋で地上に出て
いる。新宿側の縦穴は新宿中央公園を想定している。銀座側は、東京国際フォー
ラムあたりを想定しているが、これは都庁引っ越し直後の構想なので、現在では
無理だろう。許されるならば日比谷公園には設置できるかもしれない。首都高速
晴海線との接続を考えれば築地になる。築地市場引っ越し後には、そんなアイデ
アが発表されるのだろうか。2016年の東京オリンピックが決定したら着手す
る可能性はあるが、無理にインフラを整備しないエコ開催を掲げているので、1
兆円を超える道路新設は考えにくい。まあ、このルートについては、既存の構造
物 において、全く準備をしていないので特に触れないことにする。

続く