ヒマヒマなんとなく感想文|

国連軍住民殺戮映画「フォーリン・フィールズ」


(加藤健二郎)

「フォーリン・フィールズ」

ボスニア派遣の国連軍PKO軍・デンマーク部隊の一部兵士が、観光客相手に住 民殺戮ツアーを組んでいたという話。
そのような事実は今もって指摘されていない。

で、この映画の見どころは、まず、このようなデンマーク軍悪者というテーマの 映画なのに、制作協力がデンマーク軍であること。どういう形での協力かには諸 説あるかもしれないが、戦闘車両、武器、軍服や各種マーク等を見れば、軍事マ ニアなら、そのことはわかる。

そして、ボスニア戦争の取材に通っていた戦争屋を多く抱えている東長崎機関だ からこそわかるところは、撮影が、国連軍展開中のボスニアで行われているこ と。デンマーク軍PKO部隊(名称はS−FORに変わった)の担当区域である ボスニ北東部トゥーズラ(Tuzula)と、その東部の山麓。住民殺戮部隊の打ち合 わせ場所に使われていたのは、1992年には、UNHCR(国連難民高等弁務 官事務所)の置かれていた幹線道路沿いの建物。1994年には、UNHCRは この建物から引っ越して空き家になっていた。ホテルトゥーズラの支配人も、セ リフのある役としてエキストラ出演していた。他のエキストラも、現地トゥーズ ラの人たちだ。

1999年カンヌ国際映画祭では、ジョークが行き過ぎてるということで上映禁止。 ジョークとウィットを誇りにする西欧人が、困ってしまったのは、当事者たちが エキストラ出演して、現地でのロケを入れてあるなど、リアル感満点だからかも しれない。「ホントに殺戮ツアーやってたのかもしれない」と思わせてしまう魔 力があった。「フィクションです」とテロップ入れれば済むレベルではないとい うことで・・。

デンマークは西欧ではなく、海賊バイキングの血筋の北欧だ。
北欧のジョークとウィットは西欧より格上なんだね。


映画「フォーリン・フィールズ」

監督・脚本:アーゲ・レイス

出演:ペレ・べネゴー/ニコライ・ユスターワルドー/ジュリア・イエガー/ス ティーブ・ニコルソン/ヨハン・ワイデルベルク

製作:ヘンリク・ダンスラップ
脚本:イェンス・ダール
配給:彩プロ

1998年/デンマーク/93分/カラー