ヒマヒマなんとなく感想文|

歴史の裏に埋もれさた方が美しいもの

(加藤健二郎 2013.4)


第二次世界大戦終結時、 日本の降伏とほぼ同時に下命された「全軍武装解除」。
対峙するソ連軍の本質を知っていた根本中将は、 武装解除の命令に違反してソ連軍と戦い、在留邦人4万の命を守った。
命令違反するからには、戦犯として処刑される覚悟をしていたという。
他の戦線では、命令通り武装解除に応じ、シベリア送りされている事例もある。 どちらが軍人として正しいかなどは、今後の戦争を考えるなら、日本人的価値観 として決めておく方が、軍人(自衛官)は決断をしやすい。

そして、その根本博元陸軍中将は、台湾防衛の戦いに軍事顧問として赴く。
もちろん密入国による渡航だ。
なかなか素晴らしい裏の歴史を書いた本だが、 素晴らしい内容なのは、冒頭から第7章まで。
第8章以降は、名誉を剥奪されたことや、マスコミからバッシングされたこと、 表の歴史から消されたこと、日本人凄いぞ論などなど、くどすぎて見苦しい。

根本中将自身は、表の歴史で評価されたいと思ってやったことではないだろう。 この本の1〜7章が世に出ただけで十分すぎるはず。
第8章以降の長大な約98ページ分は、 数ページ以内のあとがきにまとめたほうが美しかった。
根本中将は器の大きな人間であるがゆえに、著者の器が小ささが目立つ。

欧米では外国の戦争や軍事システムなどに大きな影響を与えた軍人は日本などよ りも桁違いに多い。しかし、そうした1人1人を特に英雄視して歴史の表にもっ てこようとはしない。外国人軍事顧問や傭兵義勇兵は、表に出ないほうがよい。

日本は「日本人にも凄い人がいたんだぞ」と言いたがりすぎる。
それはやはり、日本人自身に弱小国人意識が強いからだろう。

「この命、義に捧ぐ」

続く