ヒマヒマなんとなく感想文|出版関係のトピックス

イスラム国とは何か〜常岡浩介

(加藤健二郎 2014.12)


売りは、イスラム国に3度の潜入をした
世界でただ一人のジャーナリスト。
(ジャーナリスト以外での潜入者は多いが・・)

つまり、現場情報が売りだ。
外国人義勇兵たちのインタビューも豊富だ。
評論家や学者の書いたイスラム国本とは、そこが違う。
旅人本に比べると、イスラム国の現状がわかるような観察眼には欠けているが、
ジャーナリストらしいインタビューと常岡氏自身の主張がたくさんある。

常岡氏の主張は、シリアのアサド政権を空爆して壊滅させるのがベストな選択肢
とのこと。しかし、その常岡氏自身が同じ章の中で、イスラム教徒というのは、
自分が敵対しているイスラム教徒が米軍に攻撃されても「イスラムの敵米国」と
一気に反米になると述べている。つまり、アサド政権を空爆しても、イスラム国
やヌスラ、自由シリアたちが反米になるということを解いてる。ダメじゃん。

 イスラムの勉強もしていて現場の場数も踏んでいる常岡氏でさえ、論理破綻し
てしまっているところが、「ホンネ本」という感じでおもしろい。それは、高世
仁さんが、聞き手として鋭い質問で構成しいているせいで、常岡氏が自己矛盾論
理の中に落とされてしまったに違いない。
恐るべし〜〜ジン・ネットの高世さん・・。
っていうわけで、ツネちゃんが困ってる、おもしろい本ですよ。

 

イスラム国とは何か〜常岡浩介著(聞き手:高世仁)

東長崎機関のISIS(イスラム国)対策


続く