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「ワンス&フォーエバー」試写状



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「ワンス&フォーエバー」

監督・製作・脚本:ランダル・ウォレス
出演:メル・ギブソン、バリー・ペッパー
      マデリーン・ストウ、サム・エリオット
2002年/アメリカ/2時間18分
 
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<感想 1> (挿入写真:ロバート・グリーン氏)

冒頭、フランス軍が襲撃されるシーンで、ベトナム人が対戦車兵器パンツァーシ
ュレックを使っていた。これは、ナチス・ドイツ軍の兵器で、ソ連軍が大戦中に
大量に捕獲して、それをベトナムに供与していたものだ。また、MG34軽機関
銃も。
 
この映画の監督は、「史上最大の作戦」のファンだったと思われる。主役のムー
ア中佐の雰囲気、史上最大の作戦でオマハビーチに上陸したアメリカ第29師団
副司令官のノーマン・コータ准将(ロバート・ミッチャム)を真似ている。米
軍、ベトナム軍、両司令部が出てくるところ、各戦線のシーンに、テロップで時
刻と場所を入れるところ、史上最大の作戦っぽい。



史実に忠実であろうと努力した結果、冒頭シーンのように良い部分もあ
ったので、まず、そういう点から列挙してみよう。

最初の頃出てきてた北ベトナム兵士が、あまりAK47を持っていなくて、SK
Sライフルの兵士が多かったのは素晴らしい。「共産革命ゲリラの銃=カラシニ
コフ(A47)」というイメージが強い中、実は、カラシニコフは高級兵器だっ
たというのを表している。米兵の言葉からも、そういうシーンがある。

81ミリ迫撃砲の砲身が熱くなって射撃できなくなるシーンもいい。しかし、
だとしたら、M60機関銃の銃身交換やM16小銃の弾詰まりなんかも欲しかっ
た。

戦闘シーンは、あまりにも、ベトナム兵がバッタバッタとやられてて、近代戦を
知る者の目にはリアル感に欠けるのだが、初期のベトナム戦は、実際にああだっ
たとの証言も多い。



では、戦闘シーンをマニアっくに見てみよう。
迫撃砲に無線で支援射撃を要請してから、着弾までが早すぎる。大きく弧を描い
て飛ぶ81ミリ迫撃砲弾は、発射から着弾まで20秒くらいかかるぞ。つまり、
着弾のころには、ベトナム兵は、100メートルは突進している。ああいう近接
戦闘のワリには、部隊に配られてる手榴弾が少なすぎる。箱ごと手榴弾を補給す
べきだ。沖縄戦で、手榴弾戦は学んだはずなのに。中佐は、もっと兵を分散させ
て配置し、2人1組のバーディ・システムをやらせるべきだった。ムーア中佐は、
最初にヘリから飛び出すとか、戦友の遺体、負傷兵を絶対置き去りにしないなど
の点では優れていたが、戦闘指揮官としては疑問。ベトナム軍の作戦を読むシー
ンがあるけど、あれは、お付の無線兵がベトナム軍の無線を傍受したんでしょ?

迫撃砲を照準するための基準ポールはどこに立てたんだろう。見通し距離が長
くとれる状況とは思えないので、だとしたら、狙いはかなり不正確だったろう
に。



米軍のあの部隊が、スコップ、モッコなど陣地構築用の道具を持っていたら、ど
うなっていたか? 旧日本軍、自衛隊などは、陣地構築に関しては、執念に近い
こだわりがあり、ああいう敵弾飛び交う中でも、せっせと陣地構築をする。ま
ず、個人の蛸壺、それらを繋ぐ交通壕、機関銃など据える大きめの壕、さらに時
間があれば地下壕という順番だ。395人の兵員があれば、これらは、1昼夜で
完成させられるはずだ。ベトナム軍は砲撃をほとんどしてきてないので、塹壕陣
地の構造も、単純な構造でかまわないので簡単だ。

とはいっても、地面を掘って陣地構築なんかより、ヘリがバタバタと飛んできて
機関銃を撃ちまくり、若き米兵が突撃するほうが格好イイもんね。やっぱり、
「格好イイ」と言ってもらえないと、アメリカ人は、戦争なんてやってらんない
んだろうな。帰還して、チヤホヤしてもらえなかったのが不満みたいだし。

装備として、M-79グレネードランチャーを持っていなかったのは手落ちだろ
う。M-79は、1959年に生産されていたから、もう配備されていてもいい
はず。

                           (加藤健二郎)
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<感想2>
学生時代、あんまり切れる方とはいえない先輩が作った
自主制作映画を観せられたときのことを思い出した。
背中がむずむずして、恥ずかしい感じ。
裏山でサバゲーをやっても、これよりは緊迫感のある映像を創れるだろう。
これほど力のない映像を生まれてはじめてみた。
なんというか、観るべきところが一カットとしてないのだ。
これでは逆に、どこを貶していいのか分からない。
貴重な経験ができた。
コダック大好き親米ムスリムのはずの私が、映画が終わったあと、
妙に反米的な気持ちになってしまった。
こんなの観て喜んだり感動したりしている米国市民って、
ひょっとしてヴァカ??
いや、逆かも知れない。
こんなあほらしい作品を受け入れてくれる米国社会とは、
私の想像を絶する寛容さを持っているのだ。
そうに違いない。
そうそう!
一カットだけ、いい場面があった。
物語り終盤、戦闘が終わって、安全になった前線に、
ヘリコプターに乗って大勢のジャーナリストが到着し、
主人公たちにマイクを向けて群がるシーンだ。
「命がけの取材」をするジャーナリストたちの素晴らしい仕事を描いていて、
あれだけはリアルだと思った。
ほら、ちゃんと誉めたよ。
私も寛容だね!
(超親米ムスリム)

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<感想3>

くさすぎるよ。
特に最後の場面で主人公ムーア中佐が
「自分が許せない。多くの兵士を死なせた」
と言い放つところが、嘘くさかった。
(HM)

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<感想4>

これ、3分の2は戦闘シーンなのに、ぜんぜんアクション映画じゃなかった
(ただしヘリコプターは除く)。登場人物がみんなイイ人すぎたり、主役のム
ーア中佐のキメキメのセリフはひっかかったが、観てよかったと思える映画
でした。

ベトナム戦争を長引かせるきっかけになったとされる、イア・ドラン渓谷の激
戦における両陣営(敵はベトコンじゃなくて北ベトナム正規軍)の戦略と実践過
程がわかりやすかったし、編成を組んだヘリコプターの映像はけっこうカッコ
よかったよ。機体につけられたカメラでヘリ目線。戦場カメラマンの銃の扱い
がNikonよりサマになってたのはご愛嬌か。

ただ、宣伝文句にあるように、反戦映画とは感じなかった。
反戦とかカッコイイとかじゃなく、生き残った中佐とUPIカメラマンが残した
仲間の記録という感じだ。

ベトナムから帰還した軍人の回想映画というと「地獄の黙示録」を思い浮かべ
るが、あんなに強いメッセージ性はなく、淡々とした描き方だったのは好感が
持てた(「地獄の黙示録」も好きだが)。

根拠はないが「戦争のはらわた」が好きな人向きで、「エネミー・ライン」好
きには向いてなさそう。激しい戦闘現場を経験した人は、戦場突入型の取材を
長くは続けられないという話を聞いたことがあるが、UPIのジョー・ギャロウェイ
は、イア・ドラン後どうだったのだろう?ということが、最後に気になった。
(nooooky)
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