インフラ海外拠点インドネシア | 南の島

インドネシア・四方山話 <3>

バリ人、日本人


数年前のウブッでのことだった。

半年ぶりくらいにバリにやってきたという日本人男性は、娘といっしょの
バリ島旅行らしかった。50代半ばくらいの日本人男性は、ホテル・スタッフ
のバリニーズに 「キョーセラの万年筆」をプレゼントしていた。前回来た
ときに良くしてくれた お礼だ、と言っていた。
私はフ〜ンと一部始終を見ていたのだけれど、
          「おっさん、なんか勘違いしてない?」
万年筆をもらったバリニーズは、
「これはオージーからのプレゼントなんだよ。」と着ているポロ・シャツを指差す。

■ 「この間、OOOO子をシガラジャまで案内したよ。OOさん、44才だけど
      だいじょうぶ〜!僕、OK!よ。」
     OOOO子は、某有名・古美術商。 ウブッのドライヴァー兼ガイド・談

■ 「さあ〜て、今日はY子にするか〜」
   日本語ペラペラのいかにもジゴロ風のバリニーズ、爪弾いていたギター
   を放りだし、夜更けにデートに出かけていく。
 
人の恋路をジャマするなんて野暮なことはしたくないし、
持てる者が持っていない者に援助するのがあたりまえの習慣のバリだけれど
「キョーセラの万年筆」は真面目に働くホテル・スタッフの彼の月収の何分の
一 に値するだろう?
日本人同士の贈り、贈られなら納得もするんだけれど、
          「おっさん、なんか自己満足してない?」
日本人の私たちにはたいした金額じゃないかもしれない。けれど、経済の差は
明らかだし「良くしてくれたことのお礼」といって、日本と同じ感覚でモノを
贈るのはどう考えても先進国の驕りじゃないか、と私は思う。
人は弱いモンで、樂をして何かが手に入るなら際限なくそちらの方向に流れる。
日本は過去、暴力で侵略したけれど 現在も経済でもって侵略しているのと
変わりないんじゃないかとおもう。

「そんなつもりのない」日本人感覚のプレゼント。これが私たち日本人の一番
の「驕り」だろうと私は思う。

「じゃあ、あなたならどうします?」 
と聞かれたら、
「稼がせてあげる。」
この一言。

ガイドをしているなら、今まで自分の行ったことのない場所を案内してもらうとか。
人はシゴトをすることでしか、成長しない。と聞いたことがある。
ボランティアや、与えられるだけでは、ダメなのだ、とも。
とにかく、いっしょに楽しい時間を過ごす事が、風習も 経済観も 肌の色も
何もかもちがう者同志の宝じゃないかとおもう。

モノはやがて壊れる。
もしかしたら、彼らはそれを金銭に換えてしまうかもしれない。

けれど、いっしょに過ごした楽しい時間は生きている限りずっと続くと、思い
出に残ると私は信じている。

続く