インフラ海外拠点イラク軍事・戦争

バグダッド南方戦線大混乱



バグダッド南方60キロの地点で、戦闘が始まった。イラク人は「空爆だ」というが、
この慌しさは、空爆っぽくない。地上戦の慌しさだ。車がUターンしている。

北方向と西方向から黒煙が上がる。煙幕ではなく戦闘による黒煙だ。
爆発音とのズレから計算して距離約2キロ。
イラク人民兵たちが交通整理を始める。
戦車がかなりの高速で走ってきた。「米軍戦車だ」というと、イラク人民兵に「違う、
前線へ向かうイラク軍戦車だ」と言い返される。戦闘の中を爆走してゆくイラク軍戦車、
こりゃ最高のシーンだぜ!
でも、この前後に長い砲塔、イラク軍のT−72には見えないんだが。
M−2ブラッドレー歩兵戦闘車じゃないか、やっぱり米軍だ。

米軍のM1A1エイブラム戦車だ。おい、イラク民兵、交通整理なんかしてる場合じゃないぞ。
なんて伝える必要はなかった。米軍戦車は交通整理に従って走ってゆきお互い知ってか知
らずか1発も発砲なんかしなかった。オトナの戦争だねぇぇぇ。


自分たちの後方へ回り込まれたことにも気づかない呑気なイラク民兵は、交通整理を続け
ていた。
米軍の戦車を中心とする奇襲突撃部隊は、イラク軍戦線を突破し奥深く侵攻してどこかの
イラク軍を攻撃してから帰還してきたところのようだ。


アメリカ軍の電撃作戦のスピードと神出鬼没っぷりに、イラク軍は翻弄され続けていたの
だ。今も、あのイラク民兵は、自分はイラク軍の戦車部隊を交通整理していたと信じてい
るかもしれない。
2003年4月3日、バグダッド南方戦線にて。

米軍のハイテク戦争は見ててもつまらないというイメージがあったが、こんな場面を見せ
てくれるなんて、なかなかおもしろいぞ、この戦争!!!

続く