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恋するアズィーザ/唄うクレオパトラ4




【弱さ】
 
毎晩続く電話
おしゃべりが楽しみだった
あなたは死を畏れない人だと思ってた
「死ぬのはとても怖いよ」って
何だか心が乱された
私が死を怖がってなかったのは
きっと死ぬことの意味をわかってなかったから
生きることの意味さえもわかってなかったから
 
「君に会いたい」  
電話越しの皮肉なセリフ
まるで魔法の言葉みたいで
不思議の国に舞い込んだ
出逢った瞬間 わかったんだ
あなたをよく覚えている
あなたをずっと前から知っていた
きっと運命だったのかもね

(2007年8月、チェチェン首都グロズヌイ)
(「住んでいる!」という住民が書いたものと思われる落書きがある)
人は私を強いって言うけど
あなただけは気づいていた 私の弱さに
隠してた女心に触れられないようにと
強がって遠ざけようとしていた
涙が枯れるほどに泣く私を
あなたは守ってやろうとしてた
甘えてしまいたい衝動を
素直に認めるわけにはいかなかったんだ
 
愛してるって囁くあなたに
ただ涙を流してばかりで
温かいあなたのぬくもりを
素直に受け入れられない私がいた 
プライドや愛を捨てたくなかったんだ
戦いに臨む二人は不幸な結末さえも
互いを不幸にしてしまうことさえも 
きっと忘れてしまっていたんだろう
 
人はみな誰にも言えない秘密を
一つくらい持っているでしょう
それが大きな傷だったとしても
世界のどこかに一人は
受け入れてくれる人がいるでしょう
すべてを愛してくれる人がきっと
抱きしめてくれるでしょう
震えが止まるまでずっと 強く強く
アズィーザ・クレオパトラ(AzizA=菊池由希子)のブログ

続く