『除雪するドーザー』


　除雪が公式な制度として定められた歴史では、明治９年の屯田兵村に「除雪当
番心得」が定められた。
明治初頭の除雪は降り積もった雪を踏み固めて道をつけていた、明治９年に定め
られた「除雪当番心得」で初めて雪踏みがルール化されたのだ。
屯田兵は三尺（約９０センチ）の道幅で踏むように決められていた。
　その後、馬橇やササラ電車による除排雪になって行く、私が子供の頃田舎では
馬橇での除雪をしていた。
今でも人通りの少ない道は人の踏んだ後を歩き、踏み固めた道が自然に出来る。

『除雪後の生活道路』



　明治２１年には道の雪踏みを住民に呼び掛ける、大正１４年には路面電車線路
をササラ電車で除雪されるようになる。
　そして終戦後、米軍が進駐して来てから除雪体制が一変した、米軍貸与のブル
ドーザーなどの本格的な除雪機械が車道の雪を豪快に除雪していった、ロータ
リー除雪車を始め高性能な除雪機械が導入されていった。

『冬の生活道路除雪車が入る前に自分で除雪した後の状況』


　昭和２６年に戦車７台を改造して除雪車にする、この頃札幌の輸送業界も馬橇
から自動車へと変遷していった。
そして札幌オリンピックを機に大きく除雪体制が強化されていった。
昭和５３年から生活道路の除雪が開始された。

『除雪』


　ここまでが札幌での除雪の歴史である。
毎年莫大な費用が除雪にかかる、そんな除雪作業は深夜から早朝にかけて実施さ
れる。除雪車は雪を両脇にかき分ける方法である、そんな冬の札幌の除雪には４
つのルールがある。。

『駐車場前に寄せられた雪、除雪車が入るとかえって迷惑？』　


１．
玄関前にかき分けられ寄せられた雪は各家庭で雪の処理を行う。
これが一番厳しいルール、何故なら地形や場所の条件によって雪が集中した寄せ
られとてもじゃ無いが処理が不可能な場合もあるのだ。
私の駐車場は十字路に面しており、縦横の雪が寄せられ山になる、時には雪の大
きな塊が凍って破壊も出来ず困惑してしまうことも度々だった。

近所の家の場合、玄関に大量の雪が寄せられ出入り不能になることもある、救助
したこともあった。ようするにドーザーのオペレーターが下手糞だと住民は多い
に迷惑する。もちろん積雪量に左右されるが、除雪して貰わない方がかえって良い。

『排雪作業の除雪車、民間業者が委託されている』

　２．
除雪の妨げになる路上駐車をしない、作業の支障になったり車を傷付けて
しまう恐れもあり、除雪をして貰えない場合もある。
　この条件にも場合によっては嫌な目に遭う、私の駐車場は雪を寄せられるため
除雪センターに苦情を申し立てることもある、理由は大量の雪山を駐車場の出入
り口に捨てられると処理不能だからだ。
その嫌がらせに町内会（除雪のことは町内会が仕切る）では警察に『あの車は迷
惑駐車だ』と通報される、しかし夏場には全くそんなことは言われないし金を
払って借りている駐車場である、しかも敷地内に駐車している。

『町内の溶雪機』


　しかし冬になると駐車場の敷地内でも急に駐車違反だと言われるのだ。しかし
正式に車庫証明を取得し許可を得ているのだから警察も『問題無し』と判断して
いる、当然だ。
しかし毎年町内会の役員が替わるので同じ問題が発生していた。
住宅街の雪の処理は深刻なのだ、他の住民特に持ち家の人達は市の援助で溶雪機
を装備している、１００万円以上する機械を各家庭で使用するのだがこれも燃料
代とか皆一緒に作業するとか大変なので簡単に加入出来ない。

『カメになった除雪車』


　３．道路への雪出しをしない、除雪後に雪を道路に出すと道幅が狭くなった
り、でこぼこ道になったり、交通事故や渋滞の原因になる場合がある。　除雪前
だと除雪車に持って行って貰えるので出す人もいるが必ず除雪に来るとは限らな
いので除雪車が作業しているのを見極めてからやらないと迷惑になる。

『除雪する除雪車』


除雪後に雪出しする人も近所に居るがわざわざ私の駐車場に捨てに来る奴も居
る、そんなこともあって良くこの近辺ではカメになって立ち往生しているのを見
る、よく車の後ろを押すことが多い。
　迷惑な雪出しをよく目にするが、これもモラルだけでは片づく問題では無い、
特にアパートとの住人とかの駐車場は雪の処理に苦しむので悪いと知っていても
やる奴がいる、そんなことでよくトラブルが発生する。

『河川敷に集められた市営の雪堆積場』


　４．
ごみ出しは除雪後に出す、除雪前に出すとゴミの混じった雪に排雪されて
河川などを汚す原因にもなる。
　ゴミでは無いが自転車等道端に置いている場合除雪車に巻き込まれるのをよく
見る。夏場は良くても冬場自転車等を放置しておくと多大な迷惑をかけることも
ある。除雪の邪魔になるので警察に通報しても無駄、誰も助けてはくれないのが
実情だ。

『排雪作業の時、雪山から出て来た自転車』


　雪山で困っ場合民間の業者に排雪して貰うことも出来る、しかし駐車場の空き
地に自転車を放置されりしているとその排雪もままならない、写真は春先の排雪
作業の時、雪山から現れた自転車。
この自転車は迷惑な放置自転車だったが自然に降った雪と、駐車場の除雪した雪
捨て場なので雪の重みで歪んでいた。