ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東海北陸道の全通効果(広域編)8




2)走行距離
 走行距離は、走行時間と異なって、ゆるぎない値である。高速道路を利用する場 
合、本来ならば走行距離が最短ルートをたどるはずである。ところが、道路構造が良 
くないため走行速度が抑制されたり、慢性的な交通集中起因の渋滞区間があったりし 
て、必ずしも最短ルートが最適ルートとは言えない。(◆地図6)

 東京ルートが有利なのは、東名高速道路の名古屋IC以東である。
 飛騨ルートが有利なのは、東海北陸自動車道の尾西IC以北である。
 北陸ルートが有利なのは、名神高速道路の関ヶ原IC以西である。
 そのほかのエリアは長野ルートが有利である。

 長野ルートが有利なエリアは、走行時間が有利なエリアに比べてやや(インターチ 
ェンジ1区間分)狭くなっている。東京ルートが狭いのは、東京の通過時間のハンデ 
ィキャップのせいである。飛騨ルートが狭いのは、2車線対面通行規制区間が長いと 
いう道路構造のせいである。東京の制限を解消することは困難だが、東海北陸自動車 
道が全線フル化されれば、有利な区間は時間と距離で同じになると考えられる。

 なお、東海北陸自動車道の未開通区間(飛騨清見JCTと白川郷ICの間)の走行速
は70キロに想定している。開通後の実走において、磐越自動車道のように80キロ 
以上で走行できれば尾西ICまでが有利なエリアになるだろう。しかし、未開通区間 
には国内第二位の長大な飛騨トンネルが含まれる。70キロを下回る可能性の方が大 
きい。

◆地図6 仙台宮城ICから走行距離が最短になる東海地区の路線位置図。
3)通行料金
 高速自動車国道の通行料金は出入口の位置で決められるので、その間に複数ルート 
が存在すれば、どのルートをたどっても料金は同じである。そのため長野ルート、飛 
騨ルート、北陸ルートはすべて同じ通行料金になる。東京ルートは、東京で区切られ 
るため同じ通算距離を走行しても仕切り直した分が不利になる。

 東名高速道路としては岡崎IC以東が、東京ルートの方が安くなる。岡崎ICの一 
つ西寄りの豊田ICは東京ルート以外の方が安い。この中間の豊田JCTで接続する 
伊勢湾岸自動車道の豊田東ICは、かろうじて東京ルートの方が安い。(◆地図7)

◆地図7
仙台宮城ICから通行料金が最小になる東海地区の路線位置図。
 各要因により有利なエリアは微妙に異なるので、一概にどのルートが有利か言えな 
い。おぼろげには、三河地方は東京ルート、尾張地方と東濃地方は長野ルート、西濃 
地方は飛騨ルートが有利なようだ。各ルートの経過地がかなり離れているのに比べ 
て、出発点のエリアは案外細かく分類される。

続く