ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東海北陸道の全通効果(広域編)9




【各ルートの比較(さらに別ルートが発生した後)】
 東京、長野、飛騨、北陸の4ルートだけでもその有効性がわかりにくいが、今後さ 
らに別ルートが加えられる。(◆地図8)

 北関東自動車道が全通して関越自動車道の高崎JCTと東北自動車道の岩舟JCT 
が接続すると、中央自動車道で岡谷JCTまで、長野自動車道で更埴JCTまで、上 
信越自動車道で藤岡JCTまで、関越自動車道で高崎JCTまで、北関東自動車道で 
岩舟JCTまで、ここから東北自動車道を経るルートが生まれる。

 このルートは一 
見、東海地方と東北地方を結ぶ直線に最も近接するルートである。北関東自動車道の 
当該区間は高崎JCTから伊勢崎ICまで開通している。岩舟JCTまでの区間も全 
線で工事が進行している。進捗レベルは伊勢崎ICから太田ICまでが5から6、足 
利ICまでが4から6、岩舟JCTまでが3から6である。工事進捗レベルは、6以 
上が現場での施工段階にあたる。

 また、首都圏中央連絡自動車道が開通するとさらに選択肢が増える。中央自動車道 
の八王子JCTから東北自動車道の久喜白岡JCTまで開通すると、中央自動車道で 
八王子JCTまで、首都圏中央連絡自動車道で久喜白岡JCTまで、ここから東北自 
動車道を経るルートが生まれる。

 このルートの有利な点は、道路構造がすべてフル規 
格で高速走行の信頼度が高いことと、冬季の積雪規制に影響されにくいことである。 
首都圏中央連絡自動車道の当該区間は日の出ICから関越自動車道と接続する鶴ヶ島 
JCTまでが開通している。八王子JCTと日の出ICの間の工事進捗レベルは5か 
ら6である。鶴ヶ島JCTから川島ICまでが5から6、久喜白岡JCTまでが3か 
ら6である。(◆図4)

◆図4 東北自動車道、首都圏中央連絡自動車道 久喜白岡JCT完成模型。
 さらに、首都圏中央連絡自動車道が東名高速道路の海老名北JCTまで開通すれ 
ば、東名高速道路から首都高速を避けて東北自動車道に至るルートが生まれる。この 
区間の工事進捗レベルは2から6である。海老名北JCTの構造物が東名高速道路か 
ら見えるようになってきたので開通間近に思われるかもしれない。ジャンクションの 
進捗レベルは5から6である。しかし、多くの区間のレベルが2なので、全通はかな 
り先になりそうだ。なお、レベル2というのは、路線測量のレベルである。測量して 
から設計し、用地買収、現場施工に及ぶのである。

◆地図8
一宮ICと仙台宮城ICの各ルートの配置図。
(首都圏中央連絡自動車道、北関東自動車道開通後の配置図。)
 首都高速を避けるルートとして、東京外環自動車道の延長も有効である。東名高速 
道路から関越自動車道の大泉JCTまでが開通すれば、東京ルートの東京通過時間は 
半減するはずである。首都高速の実走平均速度が40キロなので、東京外環自動車道 
が80キロならば東名高速道路から川口JCTまでは30分程度である。

 この区間は 
長い間工事凍結されていて、寝た子を起こすような革新的な事業を次々と実施する石 
原都政になり、設計協議段階に至った。当初、高架構造だったが、大深度地下構造に 
変更された。沿道の理解を得るという政治的な問題から、地下高速道路の技術的な問 
題に視点が変わっている。実際には出入口や既存の高架構造の高速道路との接続箇所 
は地上なので、政治的な問題が解消したというわけではない。

 トンネル区間の換気に 
よる大気汚染は地上区間よりも深刻と危惧されている。いずれにしても10年以内に 
開通するような代物ではないので、近畿、東海から東北への長距離におけるルート候 
補にはしない方が無難である。

 交通集中起因の渋滞も必至なので、東京外環自動車道は、首都高速の通過が必然な 
関東の内外リンクに利用されるのが適当だろう。

続く