ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

清水連絡路5



 吉原JCTの完成型は◆地形図1の赤線と桃線にあたるが、当面は中部横断自
動車 道が接続しないので、第二東名高速道路本線と清水連絡路、およびこれら
の接続ラン プ(赤線)が建設される。中部横断自動車道関連ランプ(桃線)を
除くと、きれいな かたちの3枝直結型のジャンクションになる。

 もちろん中部横断自動車道のランプと交差する構造物は同時に施工することに
な る。第二東名高速道路東京方面から中部横断自動車道身延方面への亘り線は
全区間が ほかの構造物の下を通過するので、工事中の亘り線との交差部にはク
リアランスが確 保される。中部横断自動車道身延方面から第二東名高速道路名
古屋方面への亘り線 は、第二東名高速道路本線と第二東名高速道路名古屋方面
から清水連絡路への亘り線 の上空を通過するので、高架橋だけは先行して建設
されると考えられる。また、清水 連絡路と中部横断自動車道のスルーランプは
それぞれ第二東名高速道路方面へ亘り線 と共有するので、共有区間の幅員を確
保しておけばよい。

◆写真6
静岡市清水杉山
第二東名高速道路、清水第三トンネル
吉原JCT方向から清水第三TN坑口、御殿場方面をのぞむ。
(2003年10月24日、著者撮影。)

◆写真7
静岡市清水茂畑
第二東名高速道路(上り線)、清水第三トンネル
トンネル内から御殿場方向をのぞむ。
明かり区間が短いのは坑口付近だけを試験点灯しているためである。清水第三
TNは 1116メートルのほぼ直線なので、開通時には消失点まで明かりが続
くはずである。
(2003年10月24日、著者撮影。)
 第二東名高速道路本線の工事はかなり進行している。◆写真6、7はすでに構
造物 が完成している清水第三TN(トンネル)である。舗装や照明、メンテナ
ンス施設、 防災システムなどの実験を実施している。先述のように第二東名高
速道路には新技術 が採用されているため運用前に十分な試験をする必要がある。

 土木工学はほかの技術と異なり、需要に応じた成果が求められる分野である。
技術 的には日韓TNは可能だが、需要がなければ可否を検討することさえ無意
味である。 しかし、いかなる需要にも対応できるように準備をしておかなけれ
ばならない。需要 が高じてプロジェクトが発生して、可否の判断を含めた見積
もりがある。技術がプロ ジェクトに追随するかたちになる。

 かつては、技術が「主」だったが、新幹線や名神 高速道路あたりからプロ
ジェクトが「主」になり、技術は至上命令が下された切迫し た状況で向上して
いったのだ。したがって、プロジェクトを進行しつつ、現地で実験 をして新技
術を「初めて」試している。ある程度の目算はあるにせよ、技術的な問題 で中
止したプロジェクトを知らないのは、さすがだと思う。若干の問題があったの
は、湧水に対処できずルートを変更した上越新幹線の中山TNくらいである。中
山T Nはトンネル内にS字カーブを設けて、対処できなかった箇所を回避して
いる。その ためトップスピードでは通過できず、減速を強いられている。

◆モンタージュ2
第二東名高速道路、清水連絡路、吉原JCT
吉原JCT上空から俯瞰した完成モンタージュである。
(2003年10月24日、JH静岡建設局清水工事事務所内にて著者撮影。)
 吉原JCTは大規模な構造物である。当方の拙い説明と、現地写真ではわかり
にく かったと思うが、完成型のモンタージュ(◆モンタージュ2)を見ていただ
ければ一 目瞭然だろう。俯瞰のモンタージュでは急峻な地形に設置されること
がわかりにくい ので、この画像は最後に提示してみた。
 将来の交通流は、第二東名高速道路本線のスルーが圧倒的に多い。このとき、
分合 流のほかには、オーバークロス橋を2箇所でくぐるだけで、吉原JCTの
全体像は把 握しにくいかもしれない。第二東名高速道路東京方面から中部横断
自動車道身延方面 への亘り線を通過すると、きつい右カーブで高さの異なる6
箇所のオーバークロス橋 をくぐるので、ダイナミックな線形を実感することが
できそうだ。

続く