ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

アトランタ・名古屋・ニュージャージー2

 次に積極的な方法には、
(1)渋滞箇所のみを拡幅する。
(2)渋滞箇所をつなぐ区間を拡幅する。
(3)渋滞区間を迂回する別線を新設する。

というパターンがある。

(1)は渋滞ネックのみの対策である。インターチェンジの 出口の車線増や料
金所ブースの増設、複数の料金区間の一括徴収化や、料金収受時間短縮のための
均一料金化などである。本線においてはネックを含む短区間の拡幅である。かつ
て東名、名神の渋滞多発区間は関東、関西に集中していたが、これらの区間 は
(2)の対策である程度改善されている。

 近年は、三ヶ日ICと大垣ICの間、特 に音羽蒲郡ICと岐阜羽島ICの間
の渋滞が深刻である。この区間には(1)の対策が複数箇所で実施されている。
音羽蒲郡IC付近、東名三好IC付近、名古屋IC付近、守山PA付近、一宮
IC付近、それに木曽川橋付近で車線を増やした。それでもなかなか改善されな
い。思い切って全区間に(2)を適用すれば良いと思うが、伊勢湾岸自動車道を
含む第二東名、名神へのシフトに期待しているのだろうか。

 (2) は、横浜新道や第二神明道路、中央自動車道の上野原ICと大月
JCTの間にも適用されている。(3)は、広域では東北自動車道(東京と郡山
JCTの間)を迂回する常磐自動車道と磐越自動車道、狭域では名神高速道路
(京都市街区間)を迂回する京 滋BPなどがある。

 積極的な方法は道路構造の変更であり莫大な建設費用がかかる。(1)から順
にその負担は大きくなるが、効果も比例するので、需要と供給のバランスが整合
していれば決して過剰インフラにはならない。それでも(3)の費用は(1)
(2)に比べて かなり大きいので、慎重にシミュレーションしなければならない。

 2005年現在、 最大の(3)にあたる新設路線は、第二東名、名神であ
る。その費用は、既存の東名、名神のすべての利用車両がシフトしたとしても建
設費用の償還には50年かかるというものである。通行料金は現状と同じと仮定
している。つまり、通行料金の値上げや、潜在需要の利用促進により料金収入が
増えなければ、過剰インフラと言われても仕方がない。詳述は別の機会と先述し
たが、東名、名神も料金を値上げしても交通量の変わらない路線の一つである。
しかし、値上げだけでは10兆円の負担はきびしい。交通量が増えなければ順調
な返済はのぞめない。果たして、値上げして潜在需要 を引き出せるだろうか。

 今回の道路公団整理統合でネックになったのは本四公団である。完済ののぞめ
ないインフラを抱えてパニックに至ったのだ。第二東名、名神プロジェクトは本
四3橋よりも規模が大きい。本四区間よりも交通量は多いが、元値が倍以上であ
る。たとえば2倍と仮定した場合、交通量が2倍ならば良いことになる。本四区
間の交通量の多い 明石海峡区間と東名、名神の交通量を比べれば5倍以上である。

 これで問題ないのだ ろうか。第二東名、名神は2005年現在全通の見込み
はたっていない。第二東名は何とか需要がありそうだが、静岡区間だけでは効果
はないだろう。静岡区間の運用がどのようになるのか不明だが、御殿場JCTと
三ヶ日JCTの間の別線として開通すれば、この区間を含む長距離利用車両が迂
回するだけで、東名と合わせた交通量にはあまり変化がない。東名、名神の交通
量が少なくなり、さらに潜在需要を引き出せるだろうか。静岡区間は東京、神奈
川、愛知に比べて流れは良いので、需要があればすでに現東名を利用しているは
ずである。また、第二東名の静岡区間に別料金が加算されれば、長距離利用車両
も迂回しないだろう。所要時間はやや早くなるが、流れの良い、料金加算のない
東名をそのまま利用するのが一般的だと思う。やはり、第二東 名、名神の建設
促進には国家レベルの相当な覚悟が必要である。

続く