ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

風雪地帯の高速道路の必要性1



 豊富バイパスは、現在(2006年8月)日本最北端の高速道路である。正確
には 高速自動車国道ではなく「高速自動車国道に並行する自動車専用道路」な
のだが、本 レポートでは言い回しは重要ではないので、単に「高速道路」とす
る。国内最北端の 都市、北海道稚内市中心地区まで約15キロの位置で、豊富
町における国道40号(稚 内国道)の豊富市街を迂回するバイパスである。

 南側(起点)の豊富サロベツIC(イン ターチェンジ)と終点の豊富北ICの
16.0キロの区間で、途中に唯一の出入口と して豊富幌加ICが設置されて
いる。全区間フル規格では4車線だが、インターチェ ンジ前後区間などの一部
区間を除き、2車線の対面通行で供用している。ゆるやかな 地形の原野に建設
されたため、トンネルや長大橋のような高価な構造物は一つもな い。建設費
は、約350億円で、1キロあたりの建設費は約22億円である。同時期 に開
通した道内の高速道路に比べて、単位(1キロ)あたりの建設費はかなり安い。
(◆表1を参照。)

◆表1
豊富バイパスと同時期に開通した道内の高速道路の建設費用一覧。
 旭川紋別自動車道の愛別、愛山上川の区間は平野部から山岳部への移行区間で
29 58メートルの愛別トンネルが建設費を高くしている。深川留萌自動車
道、美幌バイ パスの各区間では特に負担になる構造物は見あたらないが、既存
の農地を買収して用 地確保していることが1キロあたり38億円に至ったと考
えられる。つまり、何の用 途にも使われていなかった原野の豊富バイパスの建
設費は純然たる道路建設費と言え るのかもしれない。

 なお、美幌バイパスは道東自動車道の本別JCT(ジャンクション)から足寄
方面 への分岐線の延長上にあたる。この分岐線には特に愛称はつけられていな
いが、便宜 上「北見自動車道(北見道)」とする。足寄の先、北見までの区間は
未着工だが、北見 から美幌バイパスの開通区間までの開通目処はたっている。
北見道の未着工区間は、 2006年4月21日に廃止になった北海道ちほく鉄
道ふるさと銀河線に並行する。 沿道には特に高速道路需要は見あたらない。そ
れでも帯広と北見を結ぶアクセスが多 ければ建設の意味はあるが、それほどで
もない。札幌と北見を結ぶルートを構築する のが主目的なのだが、これは旭川
紋別道、遠軽北見道で十分である。

 旭川紋別道は順 調に開通延長を伸ばしている。遠軽北見道は旭峠道路が開通
しているだけだが、ほか の区間をすべて建設しなくても市街地を迂回する区間
だけ開通させて網走道路(国道 39号)に接続すればよい。結末はわからない
が、現時点では美幌バイパスは北見道 という道東道(本別JCT)と網走を結
ぶ高速道路の1区間として取り扱う。

◆写真1ー1
旭川紋別自動車道、愛山上川IC付近。
(2006年5月23日、著者撮影。)  

◆写真1ー2
深川留萌自動車道、北竜ひまわりIC。
(2006年5月23日、著者撮影。)
  

◆写真1ー3
美幌バイパス、女満別空港IC付近。
(2006年5月22日、著者撮影。)
  

続く