ヒマヒマなんとなく感想文| 戦争と音楽の深い関係

「中国戦線で武器を楽器に持ち替えた日本兵たち

(2008.8 加藤健二郎)

中国戦線で武器を楽器に持ち替えた日本兵たち


戦争中の昭和19年制作映画「野戦軍楽隊」(VHS)

 中国戦線の日本軍で、「日本軍人は強いだけではダメだ」「音楽の力だ」の言 葉とともに、野戦軍楽隊が編成された。音楽未経験の兵隊に、トランペットやク ラリネットを教えるシーンなどは、なかなか要点を捉えていておもしろい。日本 の唱歌や童謡を中国の子供たちに教えてまわる班もある。中国人女性歌手を加え て、中国の歌を演奏してまわり、最前線の銃砲弾飛び交う中では、大東亜共栄圏 の思想をスピーチするBGMとして野戦軍楽隊は演奏する。進軍していった中国 人の村で中国の曲を演奏すると、村の娘が、一緒に歌いながら近寄ってくる。

「戦争と音楽」をテーマとした作品は他にもたくさんあるが、戦争中に制作さ れた映画である点、中国戦線の日本軍と中国人の関係を見る上で貴重だ。映画の 画面そのものだけでなく、当時の日本軍・情報局が選んだ入選作であるという時 代背景も考慮してみよう。