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安倍総理の華麗なる"国際的"お友達1

(報告:常岡千恵子)


 ついに、初の戦後世代日本国総理大臣が誕生!!!

  日本のテレビは、"世界に報じられた"と大はしゃぎだったけど、総理
就任前後の数週間の海外英文メディア(中国と韓国は除く)の報道内容を
のぞいてみると……

  −A級戦犯容疑者かつ元日本国総理大臣を祖父に、元外相を父に持つタ
   カ派ナショナリストであること。

  −2002年から、拉致問題で一躍にスターダムにのし上がったこと。

  −2006年7月の北朝鮮のミサイルテストの際に、先制攻撃の検討を
   唱えたこと。

  −靖国問題と歴史認識への態度と思想。

  −憲法改正と愛国教育と修正主義教科書の推進を掲げていること。

  −政治経験が浅いこと。


 大手海外英文メディア(中国と韓国を除く)による安倍プロフィールの
8割以上が、前出の点をすべて網羅していたといっても過言ではなかった。

 そして2006年9月29日、初の所信表明演説を聴いてみたところ、
"美しい日本"を目指しているのかもしれないが、必ずしも"美しい日本
語"ではなかったことが気になった。

  というのも、安倍総理は、K、S、G、Rの子音の発音が苦手らしく、
上滑って舌足らずで、迫力不足なのだ。

  民主主義国家の政治家の第一の武器は、"軍隊"ではなく"弁論"。

  安倍総理が憧れる欧米の政治家たちは、日夜演説の訓練に励んでいる。
とくに真似ッコしようとしてる英国のサッチャー元首相は、血の滲むよ
うな努力を傾けて発音を矯正した。

  安倍総理、今後も政治家人生が長そうだし、この際、"しっかりと"発
音矯正をなさって"美しい日本語"を身につけられては、いかがでしょう?


 さらに、2006年10月4日に北朝鮮が核実験声明を発表。
 この時は、『東長崎機関』をご覧になって"しっかりと"勉強なさった
のか、"先制攻撃"を口走るような失態はなかった。

 また、2006年10月5日には、村山談話と河野談話を踏襲し、開戦
の詔勅に署名した祖父の決断は誤りであったと明言。

  次いで、2006年10月8日に訪中、10月9日に訪韓を果たし、両
国との関係改善の姿勢を明確に打ち出し、10月9日に北朝鮮が核実験実
施を発表したあとも、"先制攻撃"を口走ることなく、関係諸国との連携
を強調した。

  ところが、キムジョンイル氏が張り切るたびに、昔からの根強い"日本
核武装説"が浮上してしまう。
 そして今回も、海外メディアは、安倍総理の「危険な新たな核の時代に
入った」という発言に反応したのか、次々と日本の核武装の可能性を報じ
た。

  日本国民の間では、一般に核武装に対して強いアレルギーがある。
しかし、安倍総理の祖父や大叔父が総理在任中に核武装に言及したり、
その後も多くの政治家が核武装発言を行い、2002年には安倍総理本人
が「核武装は憲法違反でない」と述べたこと、さらに2006年9月に中曽
根元総理が核武装を提言したことも、海外メディアは"しっかりと"覚え
ているのだ。

 日本には、高度な技術力と、豊富なプルトニウムと、H2A(ICBMと
思われている)があるので、過去数十年間、ず〜っと核武装の疑いをかけ
られてきた。
 これも、日本の大手メディアが数十年間黙殺し続けてきた、"世界の常
識"のひとつである。

 さらに最近、安倍総理に近い、いわゆる"バブル知識人"たちの間で、
核武装論がもてはやされているという社会現象が、海外の疑念をさらに深
めている。

 そして、世界の人々は、"先制攻撃"や"核武装"もありうる"平和憲
法"とは何ぞや?と、いぶかしがってきたのだ。

  海外では、国内と違って、政治家の言葉は重く受け止められる。
  これから国際進出するつもりならば、今後、日本の政治家は、もっと自
らの発言に注意すべきであろう。



 ところで、日本のメディアによれば、安倍総理には、華麗なる"国際的"
人脈が連なっているらしい。
 
 安倍総理の"国際性"については、こちらを参照↓
  >>安倍晋三氏の"国際性"


 2005年12月に米国の国家安全保障会議アジア上級部長を辞任し
たとたん、頻繁に日本のメディアに登場するようになったマイケル・グリ
ーン氏も、安倍総理のマブダチの一人らしい。

 バグパイプの名手ともいわれるグリーン氏は、現在、日本のメディアに
よって、頼もしい"日本の守護神"として祀られている。
  "グリーン神社"ができる日も近い?  総理、ぜひ一緒に参拝しましょう! 
  

『産経新聞』2006年6月8日付3面

  中国が日本の首相に靖国神社参拝中止を要求するのは「悪い間違い」、
「米国は日中間で中立の立場はとらない」として日本を支持する、な〜ん
て、さすがは、マ・イ・ケ・ルぅぅぅ〜!

  でも、この記事について一言わせてもらえば、マイケルぅがジョージタ
ウン大学教授だって書いてあるけど、残念ながらassociate professorだ
から、準教授なのよね〜〜。 


戦略国際問題研究所とマサチューセッツ工科大が発行する、『ザ・ワシン
トン・クォータリー』2006年秋号101ページの、マイケルの論文より 


  もちろん、これは全然マイケルのせいじゃなくて、記事を書いた人の責
任。
 事実を"しっかりと"確認して、妄想に陥らないよう注意してください
ね、『産経新聞』さん!!

  自説と相容れない米政府高官の発言を無視した『産経新聞』↓
  >>小泉ニッポン!"東アジア一人ぼっち"劇場 1
 >>小泉ニッポン!"東アジア一人ぼっち"劇場 2


 で、きっとマイケルは、アメリカでだって、日本の味方してくれてるの
よね〜!
 頼もしいわン!!!

。。。。。。。。。。。。。

『ニューヨーク・タイムズ』(米)               2006年6月4日付
          −日本の指導者レースが、アジアの関係を変えるかもしれない
		  



 前国家安全保障会議アジア上級部長で現在ジョージタウン大学で教鞭
を取るマイケル・グリーン氏は、ブッシュ政権は「こうした敏感な歴史問
題解決を仲介するのは、米国にとって有益ではない」と信じる、という。

  「だが、日本国内で、次の首相は対中関係改善に向けて、積極的な方策
を採る必要がある、というコンセンサスが形成されつつある」と、グリー
ン氏は、最近の訪日時のインタビューで、語った。

  「これは、よいことだ。米国で次の政権ができる2008年までに、そ
うならなければ、人々は、日本がどのぐらい頼りになるかを、問い始める
かもしれない」。

。。。。。。。。。。。。。

  ?!
  最初の『産経新聞』の記事のわずか4日前の記事なのに……
きっと、これは悪い夢……。

  あ、マイケル、この日に、国連のミャンマーへの対応についても、何か
言ってる。

。。。。。。。。。。。。。

『AFP通信』(仏)                         2006年6月4日配信
          −日本のミャンマーに対する姿勢が、米国を苛立たせる
		  
	

  先週、ミャンマーの政治危機についての希有な理事会ブリーフィングで、
日本は、この東南アジアの国の状況は、理事会が行動するにあたっての重
要な必要条件である、国際平和と安全への脅威となっていない、と発言し
た。

  つい最近までブッシュ米大統領の上級アジア部長だったマイケル・グリ
ーン氏は、「日本は大きな間違いを冒した」と、いつになく強い言葉で述べ
た。

  「このビルマ(ミャンマー)についての決断で、日本は倫理的優位を失
った」と彼は語った。
  「こういうことを目にするのは、つらい。片方は、過去2年間にだんだ
ん市民の自由と民主主義を抑えている中国とロシアだ。もう片方は、安全
保障理事会のすべての民主主義国家だ」。

  グリーン氏は、「この判断ミスが、米政府とアジアにおいて、日本の外
交的立場に、影響を与えるかどうかを考えなければならない」と語った。

。。。。。。。。。。。。。

  ええーっ、マイケル?!
  まるで、日本が民主主義国家じゃないみたいな口ぶり!!

  結局、日本は2006年9月15日に立場を転換し、ミャンマー情勢を
国連安保理の公式議題にすることに賛成したけど。

  この後、小泉首相の訪米が近づくにしたがって、マイケルの出番が増え
てきた。
  これまでのことは水に流してあげるから、マイケルぅ、"しっかりと"
日本を応援してね!

  国際的に発行されてる英経済紙に寄稿もしてるわよね。
  その要旨ものぞいちゃおうっと!

。。。。。。。。。。。。。

『フィナンシャル・タイムズ』(英)           2006年6月27日付
           −なぜ"サヨナラ"を言うのが、いちばん難しいのか;
                        マイケル・グリーン、マシュー・グッドマン筆
	

  日本の首相を辞任する数ヶ月前に、今週、小泉氏は訪米してブッシュ大
統領との"サヨナラ・サミット"に臨む。

  2001年、ブッシュ氏と小泉氏は、米日二国間の経済対話の枠組みと
して、"成長のための経済的パートナーシップ"を打ち上げた。

  だが、この枠組みの勢いが失われてから久しい。
  他方、日米の経済界は、中国とインドの魅力に圧倒され、二国間の取り
組みの政治的利益を維持することが難しくなった。

  米日間のより緊密な経済的協力は、中国が、この地域や世界でより建設
的役割を果たすための刺激をつくることができるだろう。

  この理由と、国際金融機関や大型開発イニシアティブやグローバル経済
のマネジメントにおける米日の集団的ウェイトのため、世界は米日の経済
的関係に、重要な利害を有している。

  今、米日間でFTAを望むことは無理かもしれない。

  双方、とくに日本が、農産物市場を完全に開放する用意がないかぎり、
自由貿易は達成されないし、政治的にも適さないだろう。

  もっと現実的なアプローチとしては、包括的合意に向けて、"煉瓦積み"
をしていくことだ。
  両国政府は、一連の小さな課題から交渉できるだろう。

  世界でもっとも大きな経済大国であるこの二国は、価値観を共有し、合
意できることがたくさんある。

  ブッシュ氏と小泉氏のおかげで、米日の政治的・戦略的関係は、かつて
なく良好だった。
  経済的関係についても、これが可能であるべきだ。

。。。。。。。。。。。。。

  ちょ、ちょっと、これって、日本に対するかなり厳しい注文じゃないの、
マイケルッ!
  しかも、中国の発展のために米日経済協力を緊密に、なんて……

  で、小泉首相の訪米そのものについては、何て言ったの?

。。。。。。。。。。。。。

続く