東長崎機関 及川眠子 HOME



<<前のページ | 次のページ>> |
5.ギョーカイ裏側くらべ

[及川眠子] ジャーナリスト同士に派閥はある?

[加藤健二郎] ないと思う。考え方の違いはあるけど、派閥というほどの団結はない。なんとなく考え方が違うという程度。

[眠] あいつが仕事取ると自分の仕事が減るから足をひっぱるとかは?

[健] ウワサを流すのはあるが、直接的な邪魔はしない。

[眠] じゃ、音楽業界の方がすごい。
精神病院に入院したと言われてパッタリ仕事が来なくなった人がいるもの。

[健] 出版業界だと、精神病院入院で引かれるかもしれないが、イラクへ行ってきたと聞いたらやっぱり話を聞いておこうということになると思う。出版業界は中小がたくさんあるので大手をやめても行き場がたくさんある。雑誌では大手に勝てないけど単行本は逆転が出来るから、やられた側が生き残ることが出来る。

[眠] 音楽業界は会社に担当がいて、田中さんと山田さんの二人に売り込みに行ってもちゃんと横のつながりがあって、山田さんから「じゃあ、この件は田中さんに」と言われてしまう。だからどの人とやっても大丈夫なんだけど、そのかわり、一度悪いウワサが流れるとその会社全体との関係がマズくなる。

[健] シマ意識はK社にはある。どの担当者に持っていくかで企画の通りやすさもギャラもぜんぜん違う。ギャラは3倍の開きも経験したことある。他の出版社だと、たとえばユーゴの写真を持っていったら、もっと詳しい担当を紹介してくれたりする。K社は編集者同士を競わせているようだが、外部にとってやりにくい。これは、こっちからケチをつけても変わらない。

[眠] 音楽業界には言い値はない。契約書が基本になっていて、条件が違うと突き返す。雑誌で初めて「マリクレール」の仕事したとき、お金のこと全然言ってこないな〜と思ってたら、もう原稿料が振り込まれていたの。

[健] 中小は先にお金の話するが、大手はしないね。昔はいいギャラだったから金の話なんかしない習慣が残ってるんだよね。アサヒグラフ1〜2ページやれば会社員の月給分くらいもらえたから。今は、そのギャラの絶対額と習慣だけが変わらないで残ってる。

[眠] 悪しき習慣といえば、5分以上の曲は2曲扱い、というのがある。やしきたかじんのA面の曲書いたのに、B面は5分以上だったから、B面のほうが高いの。1曲が3分前後の時代の習慣なのよね。だから、こんなこともあった。ワンフレーズしか作らない作曲家がいて、それに詞をつけるとき「5分越えるなら、好きなように構成していいよ」とディレクターから言われた。

[健] ある楽曲が売れる売れないのリスクを負うのはレコード会社?

[眠] 原盤を作ったところ。

[健] ということは、レコード会社は印刷会社みたいな位置づけ?

[眠] プロダクションが出版社みたいなところで、お金出してる。1発目がドカーンと売れて2発目を出す時、ぜんぜん売れないこともあるのに、100万枚くらいプレスしちゃう場合、作曲家作詞家はたとえ8割が返品されたとしても、プレスされた枚数分の印税の80%は入る。だから、プレスしたところがリスクを負うことになるね。

[健] 出版の場合、メジャー誌がどんどんギャラを落としてる。週刊誌はあれだけ売れてても安い。専門誌はもともといくらもらえるか見えてるから、単価は安いけどページ数の多い専門誌と写真週刊誌の仕事、トータルでは同じくらいになってしまう。イラクへ行ってきても、書く場合は、単価よりボリュームで考えて専門誌のほうがよくなっていたりする。

[眠] 舞台はそれに似てる。ふつうは1曲10万円くらいなので、カルメンの舞台をグロス受けで80万のときは安いと思った。何度も打ち合わせしたりして大変なんだけど、再演するときは何もしないで7割、少なくとも5割は入ってくる。

[健] 印税っぽい。

[眠] ほんとは印税じゃないんだけどね。「レ・ミゼラブル」や「屋根の上のバイオリン弾き」はおいしい。ただ、「ラ・ミゼラブル」はもっと安かったみたい。私は「カルメン」のとき、最初200万の見積もり持って行ってびっくらされたんだけど、「及川、いつもは1曲10万なんですけど〜」って言ったら「今までの最高額」80万にしてくれた。その後は、皆そのくらもらってるみたい。

[健] 似たようなことが出版界でもあった。今枝さんが値段をふっかけて2倍くらいに相場があがった。でもそれを知らない人はやなヤツだと思ってたかも。

<<前のページ | 次のページ>>|



 
及川眠子事務所へのメール
東長崎機関へのメール